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大阪初の大回顧展「はんなり」の美人画家の魅力とは?

6/8(木) 16:20配信

THE PAGE

「没後70年 北野恒富展 なにわの美人図鑑」

大阪初の大回顧展「はんなり」の美人画家の魅力とは?

 大阪の女性たちを描き続けた画家、北野恒富をご存じだろうか。「妖艶」とそして「はんなり」と、なにわの情緒を描いた美人画家として知られる。「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)では、そんな恒富の大阪初の大回顧展が始まった。「没後70年 北野恒富展 なにわの美人図鑑」だ。約190点の作品がそろい、関係者は「大阪でこれほどの規模の展覧会は初めてです」と話す。その魅力とは? 7月17日まで。

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明治から昭和にかけ大阪の女性を描き活躍した北野恒富

 同展は明治から昭和にかけて大阪の女性を描いて活躍した画家、北野恒富(1880年~1947年)の回顧展だ。素描を収めたスケッチブックやポスター、挿絵なども展示。恒富が設立した画塾「白耀社」で関わった弟子たちの作品も公開している。

 石川県金沢市で生まれ育った恒富は、画家を志して17歳の時に大阪にやって来た。そして新聞小説の挿絵画家としてスタートし、研鑽を積む。恒富は宗右衛門町や道頓堀など、大阪・南地の花街や芝居町を創作の拠点にし、初期の作品は「画壇の悪魔派」と呼ばれ、妖艶な美しさが漂う画風を展開する。

 大正期に内面性表現を深化させ、やがて大阪のモダニズム「はんなり」の境地に…。昭和10年代に入ると、船場の旧家の風情を描き始め、昭和11年、改組第1回帝展の「いとさんこいさん」、同14年の「星(夕空)」など、はんなりとした風情漂う名品となっている。

長く展示できないので、会期は6週間です

 「17歳で大阪に出てきて、南地の歓楽街で日々生活をしています。そんな中で南地の風景や女性の内面を描き、はんなりに到達していきます。大阪でこれほどの規模の展覧会は初めてですし、北野恒富の世界観を満喫して頂けたらと思います。恒富を通じて大阪のことをもっと知って欲しい。大阪は文化都市だったのを再認識できます。谷崎潤一郎とも親交があり、本の挿絵も描いています」(あべのハルカス美術館主任研究員、北川博子さん)


 また、開会式で登壇した同美術館の浅野秀剛館長は、主催者挨拶としてこう述べた。

 「大阪の皆さんに親しみのある分野のものを開催し、大阪のゆかりの作家を紹介していっているわけですが、(恒富展は)5年以上前から企画してやろうやろうと思っていましたが、ようやく開催することができました。妖艶な美人画が多く、それだけではなく、はんなりとしたものが多いのは存じ上げていたんですけども、展示したものを見ると、もっと幅が広い女性像を描いていたことがわかります。長く展示できないので、会期は6週間です。ぜひご覧になって頂きたいと思います」

「恒富の作品に凝縮されていると思います」

 監修した大阪大学総合学術博物館の橋爪節也教授は「北野恒富というのは、非常に思いのある作家でして、これまで開かれた展覧会はそんなに規模が大きくありません。没後70年にもなって、大阪でようやくこれだけの量の展覧会が初めて開かれました。大阪の“はんなり”が恒富の作品に凝縮されていると思います」と話した。

 はんなりは上品な華やかさを表す上方のことばだが、忘れてしまった情緒が漂い、何とも魅力的な美人画と言えるのではないか。
(文責/フリーライター・北代靖典)

最終更新:6/14(水) 6:10
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