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ツイートの二次利用はどこまでOK? 知っておきたい「利用規約」の読み解き方

6/8(木) 7:10配信

ITmedia NEWS

 先日、弾道ミサイル発射などの緊急情報を携帯電話で伝える「全国瞬時警報システム」こと、Jアラートに注目が集まりました。

【画像:「情報の再利用」はどこまでOK?】

 このJアラートは、通信キャリアから携帯電話端末を購入し利用している場合にスマートフォンで受け取ることができます。格安SIMと呼ばれるMVNO事業者であっても、iPhoneを含めほとんどの端末が対応していますが、一部受信ができない端末が存在しています。

 受信できない可能性のある端末について、総務省消防庁は民間事業者のアプリをインストールすることで同等の情報を取得できることを明示しています。ここでは「Yahoo! 防災速報」が取り上げられています。

 ただ、私はこのアプリの名前にちょっとしたことで引っ掛かりを覚えていて、インストールすることを躊躇(ちゅうちょ)しました。それには「収集した情報の再利用」の問題が関係しています。

 私たちが普段使っているSNSでも度々「投稿の二次利用」問題が話題になります。今回のコラムはこの「情報の再利用」と「利用規約」について考えてみたいと思います。


●「混雑レーダー」アプリが混雑を判断する意外な方法

 ヤフーは2015年9月、エリアや施設がどれほど混雑しているかをヒートマップで表示する「混雑レーダー」をリリースしました。これは、駅や大型商業施設などが今どのくらい混んでいるのかを、Yahoo!地図上にに重ねて色別に表示するというものです。

 まるで天気を見るように、ピンポイントで目的地の混雑状況が分かるのは大変面白い仕組みだと思います。しかし、混雑度をどうやって判断しているか不思議に思ったことはありませんか? 実はその答えも、プレスリリースに書いてあります。

 “「混雑レーダー」は、「Yahoo!防災速報」アプリの位置情報をもとに算出した混雑状況を、「Yahoo!地図」アプリ上で混雑度を色で表現するヒートマップとして確認できるほか、全国約3万施設では5段階の“混雑指数”も確認できます。
※「混雑レーダー」で利用するデータは個人やその特性等を特定するものではありません。”

 実はこの混雑度合い、ヤフーが提供する「Yahoo!防災速報」をインストールしている利用者を“センサー”とし、利用者がどのくらいその場所に存在するかということから算出しているのです。混雑レーダーを利用している人ではなく、全く別のアプリで取得した情報を利用していることに、私は少々驚きました。

 しかし、これもヤフーの規約上は問題ありません。ヤフーのプライバシーポリシー上はサービスを通じ「個人としてのお客様を直接的または間接的に識別できるすべての情報(パーソナルデータ)を取得」し、「お客様に適したサービス等をご提供するため」にそのパーソナルデータを利用することを明示しています。

 また、大前提として個人を特定するものではないとしています。既にサービスを使っている人はその利用規約に許諾しているという前提であるため、ルール上は正しいビジネスであると考えています。

 もちろん、利用者にもっと分かりやすく、明示的に取得情報をどのアプリで活用するかをガイドすべきだと、個人的には思っています。

●ツイートの二次利用はどこまでOK? 利用規約の読み解き方

 サービス上で入力した情報や、取得されるさまざまな情報がどの程度「再利用可能か」という点は、私たちももう少し意識しなければならない時代かもしれません。それは身近なSNSでも一緒です。

 例えば、Twitterで投稿したツイートは、テキストだけでなく、画像も含め「ユーザーのもの」と明示されています。しかし、その利用権はTwitterにも提供されており、

 “当社があらゆる媒体または配信方法(既知のまたは今後開発される方法)を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。”

 というルールの下、再利用が可能です(Twitterより)。

 これはどういうことかというと、インターネット上であなたの発言を「適切な形であれば、利用者の許諾を得ずとも再利用が可能」であると考えてください。

 具体的には、ブログやニュースメディアがページに「Twitterが提供する開発者用機能を使い、正しいかたちで埋め込む」ことは、あなたが投稿した時点で許諾している=「Twitter公式APIを使えば、投稿者の許諾を取らずに引用できる」ということになります。この記事の冒頭でも、総務省消防庁のツイートを埋め込んでいますね。

 ねとらぼをはじめ、多くのメディアは “マナー”として投稿者に許諾を得ていますが、Twitterのルール上は、条件付きながら自由に利用が可能であると知っておきましょう。

 なぜそのような条件がついているのかというと、おそらくですが「変更、編集、改ざんを防止し、元の投稿者が発言を削除したらすぐに反映される」ということを実現するためだと、私は考えています。逆にいうと、それができない方法での再利用は個別の許諾を得る必要があるわけです。

 Twitterのブランドガイドラインでは、明確に「Twitter以外でツイートを表示する場合、元の状態のまま表示」せよとあります。アイコンやユーザー名も必ず表示すべしとありますが、日本のテレビ番組などでこれが守られている事例はほとんど見たことがありません。

●利用規約で注意すべきは「権利」と「再利用」

 FacebookやInstagramなど、他のSNSでも利用規約で収集した情報の取り扱いに関する記述があります。先ほど紹介した「開発者用機能を使えば個別の許諾なく再利用が可能」という機能を応用すると、自分の投稿が他者の「まとめ」などに利用されることも、ある意味仕方ないのかもしれません。

 その意味では、特定の企業のサービス規約にとらわれることなく、運営者自身がコントロールできる「Mastodon」(マストドン)のようなSNSの登場にも意味があると考えています(Mastodonに関しては、投稿された内容の再利用は、著作権法上の「引用要件」に従って処理する必要があるはずですが、各インスタンスごとに利用規約が設定されています)。

 一時期は他者が作り出したコンテンツを再利用する「まとめサイト」の問題がクローズアップされましたが、その後すっかり沈静化してしまった印象もあります。しかし、私たちがさまざまなサービスを利用する上で作り出された情報を、ある程度自分がコントロールしたいと考えるのならば、SNSなどの「規約」にももう少し注意しなくてはならないかもしれません。

 そしてサービス提供側は、こっそりとではなく「堂々と」データの再利用方法に関するガイドを、利用者に対し最大限に分かりやすく明示することこそが、サービスの品質を高める上で重要だと、私は考えています。

最終更新:6/8(木) 7:10
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