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バブル期と比較すると足らないのは企業レバレッジ

6/8(木) 8:40配信

ZUU online

シンカー:現在の日本経済の状況と1980年代後半のバブル期と比較して、三つの類似点は、失業率が3%を下回った労働需給の引き締まり、貿易赤字を問題視する米国政権からの内需拡大を求める圧力、そして日銀の金融引き締めの遅れだ。一方、一つの決定的な相違点は、企業の財務レバレッジが過去最低であることだ。現在、1990年代から企業貯蓄率は恒常的なプラスの異常な状態となっており、企業のデレバレッジや弱いリスクテイク力、そしてリストラが、企業と家計の資金の連鎖からドロップアウトしてしまう過剰貯蓄として、総需要を破壊する力となり、内需低迷とデフレの長期化の原因になっていると考えられる。企業貯蓄率が低下していけば、ファンダメンタルズは良好であるため、マネーの拡大は強くなり、景気拡大が加速していく可能性がある。言い換えれば、企業のレバレッジが上がるだけで、日本経済の状況は大きく好転することを意味する。

現在の日本経済の状況と1980年代後半のバブル期と比較して、三つの類似点と一つの決定的な相違点を指摘した。

三つの類似点は、失業率が3%を下回った労働需給の引き締まり、貿易赤字を問題視する米国政権からの内需拡大を求める圧力、そして日銀の金融引き締めの遅れだ。

一方、一つの決定的な相違点は、企業の財務レバレッジ(総資産/自己資本)が過去最低であることだ。

バブル期の5倍程度に対して、現在は2.4倍程度となっている。

バブル期は、企業や個人の借り入れを主体とする信用創造により、マネーが膨張し、それが株式や不動産などのリスク資産に流れ込み、リスク資産価格の急上昇をともなう景気拡大となった。

当然ながら、企業貯蓄率は大きなマイナスであった。

一方、現在の場合、1990年代から企業貯蓄率は恒常的なプラスの異常な状態となっており、企業のデレバレッジや弱いリスクテイク力、そしてリストラが、企業と家計の資金の連鎖からドロップアウトしてしまう過剰貯蓄として、総需要を破壊する力となり、内需低迷とデフレの長期化の原因になっていると考えられる。

企業貯蓄率が低下していけば、ファンダメンタルズは良好であるため、マネーの拡大は強くなり、景気拡大が加速していく可能性がある。

言い換えれば、企業のレバレッジが上がるだけで、日本経済の状況は大きく好転することを意味する。

企業貯蓄率は2010年10-12月期の+9.7%(4四半期平均、GDP比率)から2014年10-12月期の+1.4%まで低下し、循環的な景気回復の進展を示していた。

それ以降、新興国経済の減速とグローバルな景気・マーケットの不安定化、そして円高、更に2014年4月の消費税率引き上げによる内需の下押しもあり、企業貯蓄率は2016年4-6月期には+5.0%まで上昇し、企業活動の鈍化により循環的な景気回復の力が弱くなってしまったことを示していた。

しかし、新興国のストック調整が一巡し、先進国では財政政策による需要下支えの動きが見え、円安に転じ、雇用の持続な改善により内需は底堅く、企業活動が鈍化から回復に再び方向転換したことが確認された。

2016年7-9月期から企業貯蓄率は再び低下し、10-12月期には4.2%となり、循環的な内需の回復とデフレの緩和が再開したことを示している。

しかし、10-12月期の段階では、米大統領選などの不確実性が残っていたこともあり、まだ企業貯蓄率(4.2%)の低下は加速しておらず、企業の慎重姿勢は続き、活動の回復は物足りない。

名目GDPの拡大というビジネスのパイの拡大が続く中、企業の雇用の不足感は強く、効率化と省力化を、設備・機器への投資で進めなければならなくなっている。

株価が上昇に転じ、マーケットの期待ROEは上昇しつつあり、企業はデレバレッジという貯蓄から投資に転じ、実際のROEを期待ROEに近づける動きを示す必要に迫られ始めている。

グローバルな景気・マーケットの安定化と景気対策を含めた財政政策の緩和もあり、企業の過剰貯蓄による総需要が破壊される力、即ちデフレの原因が払拭されるデフレ完全脱却のポイントである企業貯蓄率の0%に向けた動きが再び強くなると考える。

2017年1-3月期からは、企業貯蓄率の低下の加速が確認でき、今後は景気拡大の加速が徐々に感じられるようになるだろう。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

最終更新:6/8(木) 8:40
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