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映画「ローガン」監督が語るR指定へのこだわりと疑問

6/8(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 公開中の米映画「LOGAN/ローガン」は、R+15指定(15歳以上の観賞が可能)だ。アメコミ発の「X―MEN」シリーズの一本で、ヒュー・ジャックマン(48)演じる人気のキャラクターが主人公だけに子供の観客も多いだろう。だが、監督のジェームズ・マンゴールド氏(53)は、あえてレーティング(年齢制限)付きの製作にこだわった。全編にわたって激しい暴力シーンとセリフがある。その意図を聞いた。

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 R指定を得られたことで、子供向けに売る必要のない、大人向けの成熟したドラマをつくることができた。これはありがたい話でした。子供向けの作品は、脚本も演出も単純化させ、展開を速くすることが求められます。ファクトをふんだんに入れ、愛らしい犬を登場させたり、映像もカラフルにしなければならない。今作の冒頭では2人のオヤジが自分たちの老化や衰えについて話すシーンが7分間続きますが、仮に子供向けの作品だったら1分半が限界でした。子供には中高年のグチは退屈ですからね。

 今作には少年少女が多く登場します。過去にも「タクシードライバー」のように子役が出演したR指定の良作がありますが、子役が出るからといって全編通して子供目線、子供基準で描く必要はないし、私は(米国の)レーティング制度そのものに偏見があると考えています。

 例えば、銃弾や銃撃のシーンは見る者のトラウマになりにくいが、ナイフ類はトラウマになりやすいと思われている。そういう曖昧な解釈自体、ふざけていると思いませんか。そして、そんな曖昧な基準は世間の価値観が少なからず影響を及ぼしていたりする。

 以前、女性の胸が露出されている作品を子供が目にするのが心配だと嘆く親御さんがいました。その作品には何百人もの人々が殺されるシーンもあるのですが、そっちは気にしていない。性的な描写や言葉遣いには敏感なのに、人間の尊厳や死は問題視しない。実に奇妙な話です。

 映画は人の心を動かすものでなければならないし、心の温かみや愛を描いた作品であれば、暴力的な描写も解毒剤の作用をもたらすと考えています。愛を描いた「LOGAN」は、皆さんの心を動かす作品だと信じています。