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12連敗は“負の遺産” 巨人をダメにした原前監督の欲しがり病

6/8(木) 12:23配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「前から言っているように、巨人の最大の問題は選手育成が機能していないこと。これに尽きる」

 巨人OBの評論家、高橋善正氏がこう嘆く。

 7日、巨人が西武に0―3で敗れ、ついに42年ぶりに球団ワースト記録を更新する12連敗を喫した。1975年の長嶋政権時の11連敗を選手として経験した高橋氏がこう続ける。

「当時のチームと比べると今の方が暗い。勝てる気がしませんね。この日のスタメンを見ても、巨人は平均年齢31.3歳。20代半ばまでの生え抜き選手は皆無で、2番に入った橋本がやっと27歳です。生きのいい若手が多い広島や楽天などと比べて、最近のドラフトで獲得した選手が一向に出てこない。もしくは主力に育ってこない。育成には我慢が必要ですが、毎年のようにFAで選手が入ってくる。これじゃあ、選手はなかなか育ちません。そんな巨人でも一時期、育成にかじを切った時代があった。山口、松本ら新人王を4年連続で輩出したあのとき、育成に本腰を入れていれば、こんなことにはならなかったと思います」

 大補強を復活させたのは、原辰徳前監督だ。チームづくりの方針を巡って清武元代表と衝突し始めると、11年に勃発したあの「清武の乱」を引き起こした。

「キッカケは、原監督が編成トップの清武さんの頭越しに『江川ヘッドコーチ案』を読売首脳に直訴したことですからね。結果的に清武さんを駆逐したのは、当時の渡辺恒雄球団会長ではなく、原監督です。目の上のタンコブが解任された途端、4年間でFA補強を1人にとどめていた球団方針をひっくり返し、12年に横浜から村田、ソフトバンクから杉内をFAで同時補強。この年から4年間で6人ものFA選手を取り、金満大補強が復活した」(球界関係者)

■球団は熱心だった「データ野球」も否定

 原監督が率いた計12年の間にFAで獲得した選手は12人に上る。FA制度が始まった長嶋2次政権は9年間で7人。「何でも欲しがる」といわれたあのミスター以上に欲しがったのが原監督だったのだ。原巨人は12年間で7度のリーグ優勝、3度の日本一を果たす一方で、失ったものも大きかった。いずれ、阿部や内海ら主力選手が年齢とともに衰えるのが分かっていながら、目先の勝利と結果にこだわり、彼らに代わる選手の育成を怠ってきたのである。

 球団の負の歴史を塗り替えたこの日、巨人打線は今季初登板で昨年未勝利の西武先発・岡本の前に六回途中をわずか3安打に抑えられた。リーグ最下位のチーム打率.237の貧打は一向に上向く気配がなく、ゼロ封負けは早くも6度を数える。各打者が工夫もなく淡々と凡打を重ねる姿はすっかり見飽きたが、これも原政権の負の遺産という声がある。

 球団として力を入れようとしていた「データ野球」を否定。06年に「野村ID野球のスペシャリスト」として招聘された当時の伊勢打撃コーチ補佐は、07年に解任される際、日刊ゲンダイの記者にこう漏らしている。

「巨人では一回も主導でミーティングをやらんかった。オレはただおっただけ。最後まで原監督からデータやIDのことは言われんまま。寂しいけど必要なかったんかな」

 その後、12年に同じく野村IDの薫陶を受けた橋上コーチを球団主導で招聘。新設された「戦略室」の責任者にすると、「狙い球以外なら見逃し三振OK」などと大胆なアドバイスで配球を読むアタマと効用を刷り込んだ。この指導が、その年の日本一に大きく貢献したが、その橋上コーチも原監督に追いやられる。

 翌年、「プロでも見逃し三振は決していいものではない。すごく反省するもの。悔いが残る。そういう教育を受けた。無抵抗ではバットを持つ必要がない。振ることもできないのは準備が欠けている」と公言するようになった原監督に、打撃担当へ配置転換された揚げ句、14年限りで巨人を去った。

 その橋上コーチはこの日の相手・西武の野手総合コーチとして、連敗記録のとどめを刺した側にいるから皮肉である。橋上コーチが去ってから、巨人にとってのデータは、「個人で参考にしよう」という程度のものになり、チーム全体で徹底することは少なくなったという。

「15年に発覚した巨人選手による野球賭博問題も原政権時に蔓延し、常態化した。にもかかわらず、知らぬ存ぜぬで表立って説明も謝罪もしないまま、辞めていった。現役を続けるつもりだった高橋由伸はなんの準備もなく監督に祭り上げられ、選手が高齢化してボロボロになったチームを押し付けられた。だから、読売本社から由伸監督への批判が出ない。12連敗の元凶は由伸監督にないと思っているからでしょう」(前出の球界関係者)

 原前監督は今、20年東京五輪の野球代表を率いる侍ジャパンの次期監督の最有力候補だといわれているが、由伸巨人の壊滅的な惨状の責任は、間違いなく前監督にもある。