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阪神・島本、最遅90キロ台の新球で「小さな巨人」へ

6/8(木) 14:00配信

デイリースポーツ

 「小さな巨人」となれるか-。阪神の7年目左腕・島本浩也投手(24)が2軍で好投を続けている。育成選手として2010年に入団し、15年から支配下登録された。今季は“遅球”を武器に1軍の先発ローテ入りに挑んでいる。

 プロ通算41試合登板は全て中継ぎだった。開幕2軍スタートの今季も、当初はリリーフとして13試合を投げた。5月4日のウエスタン・広島戦(甲子園)から先発に回り、6月8日時点で計5試合に登板。27回1/3を投げ7失点(自責5)の成績を残している。

 慣れない先発で好投を継続できているのは“新球”の習得も大きい。島本本人は「チェンジアップ」と言うそのボールは、球速100キロを下回ることもある“遅球”だ。

 「ハエが止まる」とまではいかないが、プロが投じる球にしては圧倒的に遅い。島本は「真っすぐをより速く見せられるように」と話し、その効果を実感している。各打者に「遅いボールがある」と意識させることによって、真っすぐへの対応を遅らせる。

 「調子が良くなかった」と漏らした前回登板・6月4日の同中日戦(春野)では、チェンジアップを9球使った。勝ち星こそつかなかったが、6回4安打1失点(自責0)と試合を作った。「直球で三振を取ることができた」と振り返った島本。球が走らない中、7三振を奪うことができたのは“遅球”をしっかり活用できたからだ。

 9球の内、最も遅いもので91キロ。この日の最速は143キロだったので、球速差は52キロとなる。いくらプロの打者とはいえ、球速差50キロのボールには戸惑う。実際、中日2軍の各打者は、明らかに島本のチェンジアップを意識させられていた。

 島本のチェンジアップについて、今岡2軍打撃兼野手総合コーチは「狙うボールではない」と打者目線の視点から説明した。ためを作り、その都度対応していくしかないと言う。また、「対応できる打者がいい打者」の条件だとした。

 “遅球”は危険な球でもある。タイミングさえ合えば、スピードがないので簡単に捉えられてしまう。同中日戦では、3番の遠藤にチェンジアップを中前へと運ばれ、結果的に失点につながってしまった。

 危険だが、効果は十分のボール。高橋2軍投手コーチは島本について「体の小ささが武器。器用ですよね」と評価する。140キロの速球を投げられる投手にとって、100キロ以下のスローボールをストライクゾーンに入れることは容易ではない。身長176センチとプロとしては小柄で、体格のハンディを技術でカバーしている。手にした“新球”を武器に、島本が1軍マウンドへと駆け上がる。(デイリースポーツ・山本航己)