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【前JFA技術委員長・霜田正浩氏特別観戦記】本田のポジション配置に「ハリルらしさ」

6/9(金) 12:05配信

スポーツ報知

◆キリンチャレンジカップ2017 日本1―1シリア(7日・東京スタジアム)

 バヒド(ハリルホジッチ監督)らしさを感じたのは、後半途中から(本田)圭佑を右インサイドハーフに配置した場面。皆ビックリしたかもしれないが、試合中にひらめいたのではなく、もともと監督の頭の中にあったと思う。いきなりポンと試しているように見えるが、その裏では綿密に準備を重ね、確信を持ってトライする。これはバヒドの特徴。安定=停滞と知っているから、メンバー選考も戦術も固定概念に縛られず、常識にとらわれない。過去にもW杯アジア最終予選初戦(UAE戦)でA代表デビューの大島僚太を先発させたり、今年3月から久保裕也を抜てきした。結果次第では批判され、それを怖がる監督も少なくない。でも彼は恐れない。

 (香川)真司がけがをしたという“伏線”もあったが、今までなら今ちゃん(今野)と圭佑が同じポジションをやるなんて考えられなかった。でも自分の基準をクリアできる選手をちゅうちょなく起用する。今のインサイドハーフに攻撃面で求められるのはFWへのサポートと、ここぞという場面でゴール前に飛び込むこと。得点した今ちゃんも2回の決定機を作った圭佑も、その基準に当てはまる。バヒドは使うタイミングを計っていたと思う。けがの功名と言うにはまだ早いけど、圭佑はのびのびプレーしていたし、イラク戦では特徴の違う2人の共演も期待できるかもしれない。

 イランでは同時多発テロが起きた。バヒドは現役引退後にボスニア紛争を経験して、自宅や店が焼き払われ無一文になったと聞く。でもよく語っていたのは「そのどん底から人生と生活を立て直してくれたのが、サッカー」だと。それだけに今回も恐怖はあるだろうが、サッカーはテロに屈しないという覚悟は揺るぎない。どう勝つかしか頭の中にはないだろう。純粋なスポーツの世界で完全勝利を望みたい。

 ◆霜田 正浩(しもだ・まさひろ)1967年2月10日、東京都生まれ。50歳。現役時代はフジタ(現湘南)や京都紫光クラブ(現京都)でプレー。引退後は京都やF東京などで強化部スタッフなどを務め、2009年から日本サッカー協会入り。14年8月に技術委員長に就任。16年3月に技術委員兼ナショナルチームダイレクターとなり、同11月に退任した。

最終更新:6/9(金) 12:07
スポーツ報知