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死亡隠し年金不正受給、行政介入に家族の壁

6/8(木) 9:27配信

岐阜新聞Web

 岐阜県内で、死後長期間たった高齢者の遺体が自宅で発見される事態が相次いでいる。5月に岐阜市と高山市で計3件見つかり、発見まで6年経過していたケースもあった。いずれも家族や同居人が死亡届を提出しないまま遺体を放置して生活を続け、年金などの不正受給につながっている。支援員の面談を拒否するケースも。行政は自宅を訪問し異常の早期発見に努めるが、不審を疑い家庭に積極的に介入するのは困難なのが現状。市民が互いに見守り合うまちづくりを模索する。
 5月8日、岐阜市祈年町の民家で白骨化した男性の遺体が発見された。死後約6年が経過していた。市によると、少なくとも2015年12月から民生委員らが自宅をたびたび訪問。だが同居する息子(58)=詐欺罪で起訴=は「父親は奥で寝ている。自分が面倒をみているから大丈夫」などと答えたため、父親とは面会できなかった。

 同市戎町のアパートで遺体で見つかった高齢の男女2人は生活保護費を受給していた。80代の男性は1年前に既に亡くなっていたとみられ、その後に死亡した女性(63)は男性の死亡届を出していなかった。この間、ケースワーカーが自宅を訪問すると女性が対応し、男性とは会えていなかったという。
 高山市では、死後半年ほどたった女性(82)が発見された。民生委員らが女性への介護サービスなどを受けるよう息子(50)=死体遺棄容疑で逮捕=に勧めていたが、息子は拒否。母親にも会えなかったという。
 「もっと早く、本人の安否確認ができていれば」。行政の担当者からは悔やむ声も聞かれるが、家庭への介入には壁があるという。
 高齢者の見守り活動として岐阜市では76歳以上の人に毎年、地区敬老会への出欠を確認、反応がなければ自宅を訪問する。高山市でも毎年春、民生委員が65歳以上の高齢者宅を訪ねている。
 しかし、世話をする同居人などが「問題ない」と答えれば、それ以上追及まではしない。高山市高年介護課は「(世話をする)身内が同居していれば身内に任せるのが普通。本人に会えず、支援を拒まれても強制的には介入できない」と話し、岐阜市高齢福祉課も「不正を疑っているのではなく、あくまで支援の手を差し伸べようと思い訪問している」と説明する。
 年金などの不正受給にもつながるが、厚生労働省年金局事業管理課は「死亡届が出されることが前提。隠された遺体を探るのは年金行政の域を超える」と話す。
 求められるのは、「互いに異変に気が付けるような地域づくり」(岐阜市高齢福祉課の担当者)。岐阜市では新聞配達員らが異変に気付いた場合に市に連絡する仕組みを構築、老人クラブへの加入推進にも取り組む。高齢者が交流する場に対し補助事業を増やすなどして促しており、「地域住民の誰もが民生委員のような社会にしていきたい」と話している。

岐阜新聞社

最終更新:6/8(木) 11:17
岐阜新聞Web