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世界最大のパネル製造装置を製作、輸出/アルバック東北

6/8(木) 10:46配信

デーリー東北新聞社

 真空技術の総合メーカー「アルバック」(神奈川県茅ケ崎市)が開発した世界最大の大型フラットパネルディスプレー製造装置を、グループ企業の「アルバック東北」(青森県八戸市、加藤丈夫社長)が製作し、5月下旬に八戸港から横浜港を経由して海外に輸出した。装置は100個近いケースに分けて特殊梱包(こんぽう)を施し、内航コンテナ船3隻で輸送するなど、八戸港で大掛かりな搬入、荷役作業が展開された。同社による大型装置の製造、輸出は今後も好調に推移する見通しで、港湾の利用促進が期待される。

 アルバック東北が製作したのは、薄型液晶テレビ用のパネル製造装置。世界最大サイズ「第10・5世代」(横約3400ミリ、縦約3000ミリ)のガラス基板を採用したパネルを生産し、65型や70型などの大画面テレビに対応できる。

 装置全体の大きさは最大で全長約50メートル、高さ5メートル超。真空技術を用いた「スパッタリング法」と呼ばれる製法で、ガラス基板に金属膜や酸化物半導体膜などを成膜してパネルを作る。

 現在の主流は「第8・5世代」(横2500ミリ、縦2200ミリ)だが、テレビ市場は大画面のニーズが高まり、それに対応したパネル製造装置の開発も急ピッチで進められている。

 従来型の装置でも大画面用パネルは生産できたものの、第10・5世代の装置はガラス基板を効率良く利用することが可能となり、生産性の向上やコスト削減が期待できるという。

 アルバック東北の兼田良勝常務は「八戸のものづくり企業として世界最大の装置を作ったことは誇りになる。さらなる生産技術の向上を目指したい」と話す。

 装置の輸送、梱包、通関といった輸出手続きは八戸通運(八戸市)が担当。鋼材を使ったスチール梱包を施した。東北地方では極めて珍しい方式で、今回から本格的に採用した。

 装置は精密で大型のため96ケースに分割し、うち32ケースは「フラットラックコンテナ」と呼ばれる特殊コンテナに積載。サイズは最大で幅約3・8メートル、奥行き約6メートル、高さ約4・2メートルに上り、全てをコンテナ船に載せた場合の占有スペースは20フィートコンテナ換算で300本以上にもなる。

 八戸港に寄港する外航船にはスペースの都合などで積むことができず、内航船3隻に分けて輸送。コンテナヤードなど港内の移動には、青森県内最大級となる24トン対応のフォークリフト、クレーン、トレーラーが使われ、荷役作業は八戸港湾運送(同市)が5月21、27、28日に実施した。経由地の横浜港で外航船に積み替えられ、今月6日までに目的港へ到着したという。

 八戸通運は「装置の大型化と生産量の急増に対応するため、品質面でスチール梱包を施し、前年比2倍の輸送を目標に物流体制の強化を図った」と強調する。

 アルバック東北は、今後も海外企業へ大型装置を供給し、八戸港から輸出する予定。港の利用促進やコンテナ取扱量の拡大につながる一方で、地元関係者からは大型貨物に対応したコンテナ船や港湾設備の充実を求める声が聞かれる。

 同社は「競争力のある物流拠点として、外航コンテナ船の大型化やクレーンなどの設備増強を進めてほしい。八戸港はアクセス面が良好なだけに、設備面の向上は一層の利用拡大につながる」と指摘。「企業誘致を展開する上でも物流の優位性は大きなアピールポイントになる」としている。

デーリー東北新聞社