ここから本文です

吉澤嘉代子、夫を愛しすぎる悲劇の夫人を熱演 “妄想系”を体現

6/8(木) 21:52配信

MusicVoice

 “妄想系女子”の異名で注目を集めるシンガーソングライターの吉澤嘉代子が去る5月7日に、東京国際フォーラムホールCで単独ツアー『獣ツアー2017』の東京公演をおこなった。3月15日発売のニューアルバム『屋根裏獣』を引っさげて、4月29日から岡山・CRAZYMAMA KINGDOMを皮切りに、全国6公演をおこなうというもの。ツアー3公演目となる東京公演は『屋根裏獣』の楽曲を中心に、5月24日にリリースされる新曲「月曜日戦争」とカップリングの「フレフレフラレ」も披露。ライブは夫を愛する夫人をテーマにした小芝居とともに展開し、ダブルアンコール含め全16曲を、吉澤の醸し出す独特の世界観で魅せた。

■吉澤ワールド全開のステージ

 ステージ上は、中央に鏡台が一つ置かれ、ステージ両サイドにはラジカセと黒電話という昭和を感じさせる小物が設置されていた。BGMには、欧米の街並みを感じさせる優雅で可愛らしい楽曲が、ファンタジックな世界観を作り出す。開演前から彼女の妄想の世界へ誘われるようだ。

 定刻を少々過ぎたところで、開演を告げるブザーが鳴り会場が暗転すると、ディキシーランド・ジャズ(初期のジャズ)風のSEとともに吉澤嘉代子がステージに登場。エレキギターを肩にかけ、ニューアルバムと同様に「ユートピア」でライブの幕は開けた。力強く緊迫感のある吉澤の歌声が会場に響き渡る。一気に吉澤の持つ世界へと引き込んでいく。

 ここで2曲目を演奏する前に、寸劇を挟んだ。吉澤は夫のことを極度に愛する夫人を演じる。そんな劇が物語るような、愛に満ちた「ラブラブ」をキュートに笑顔いっぱいに届ける。続いて「ねえ中学生」、インディーズ時代の楽曲から、どこかフレンチポップを感じさせる「らりるれりん」で、ほんわかとした空間を作り出す。そして、再び寸劇へ。電話が鳴り、姑からのイヤミを受け、その愚痴をラップにぶつけるというインタールードを挟み、「えらばれし子供たちの密話」を演奏。要所に小芝居を挟みながら、楽曲の色を際立たせていく。

 続いて、踊り出したくなる4つ打ちナンバー「屋根裏」、そして、鏡台の前に置かれた椅子に座り、Kashif(Gt)のアコギと山本健太(Key)のピアノ、そして、吉澤の歌という3人編成でしっとりと聴かせた「人魚」。さらに、ポップでキラキラとしたイメージが広がる「綺麗」と、メリハリをつけたセットリストで展開。ここで、場面は急転する。

 雷雨が鳴り響き、先ほどまで幸せそうな雰囲気を出していた吉澤が、夫の冷たい言葉に絶望を受け豹変。家に帰って来た夫を死神の持つような大釜で、斬りつけるというサイコサスペンスに物語は発展。そこから披露されたのは「地獄タクシー」。昭和歌謡のジャズを感じさせるナンバーは、迫真の歌声でスリリングさを放ち、オーディエンスの高揚感を煽っていた。

 ここで、夫の殺害と吉澤扮する夫人が行方不明というニュースが流れ、時報が響き渡ると、アニメ『日本昔ばなし』のオープニングソングが会場に流れた。そして、金色の衣装を身に纏った吉澤がステージに、巨大な龍とともにステージに登場。「麻婆」を歌いながら、客席を龍とともに練り歩いた。観客もその大胆な演出に吉澤を目で追って興奮した様子を見せた。

 そのまま龍とともに退場した吉澤。場面は吉澤が働いていたカフェで、夫と初めて出会った時の回想シーンへ。穏やかな空気感が心地よい「カフェテリア」を届けた。ここで一旦、高ぶった気持ちを落ち着かせるように優しい歌を届ける。そして、どこか異国の風を感じさせる3拍子のナンバー「ぶらんこ乗り」。キーボードの山本健太も鍵盤ハーモニカを使用し、音色でも情景を映し出していく。本編ラストは昨年の恵比寿ガーデンホールでのライブで、弾き語りで披露した「一角獣」をフルバンドで披露。<一角獣がいたら~♪>という吉澤らしいファンタジックな世界観を存分に聴かせ、ストーリー性のある本編を終了した。

 アンコールに応え、ツアーグッズの入ったバッグを片手にステージに戻って来た吉澤。「喋るのは苦手だけど、小芝居仕立てやったら面白いかなと思った。今回の奥様というテーマは、前回のツアーから考えていました」と話す吉澤。グッズ紹介を挟み、アンコール1曲目は「明日は月曜日でちょうどいいね!」を投げかけ、5月24日にリリースされた1stシングル「月曜日戦争」を披露。少しスペーシーなイントロが楽曲のイメージを際出たせた。軽快なポップチューンをハンドマイクでステージを動きながら、吉澤のどこか儚さがある歌声で幻想的に歌唱した。

 そして、「メジャーデビューしてから3枚のアルバムの中で、どの曲も愛しているけど、一番大事だと思った楽曲を届けたいと思います」と1stフルアルバム『箒星図鑑』から「ストッキング」を披露した。この曲の世界観を表しているかのような、少し歪な形をしたエレキギターをかき鳴らし、等身大の歌を情感豊かに響かせステージを後にした。

 鳴り止まないアンコールに応え、ステージに1人で戻って来た吉澤。「目が悪いから…」と眼鏡を着用し、鏡台の引き出しから1本のカセットテープを取り出し、ステージに設置されたラジカセにセット。そのオケを伴奏に「月曜日戦争」のカップリング曲「フレフレフラレ」を歌唱。高校時代に作ったという同曲は、切なさと哀愁が漂う吉澤のバラードナンバー。客席に降り、オーディエンスとコミュニケーションを取りながら歌う。そのまま2階席にも登場し、感謝を伝えながら歌い上げ、最後に「おやすみなさい」と言葉を残し、この日のライブの幕を閉じた。

(取材=村上順一)

■セットリスト

5月7日 東京国際フォーラムホールC

『獣ツアー2017』

01.ユートピア
02.ラブラブ
03.ねえ中学生
04.らりるれりん
05.えらばれし子供たちの密話
06.屋根裏
07.人魚
08.綺麗
09.地獄タクシー
10.麻婆
11.カフェテリア
12.ぶらんこ乗り
13.一角獣

ENCORE

EN1.月曜日戦争
EN2.ストッキング

WENCORE

WE.フレフレフラレ

最終更新:6/8(木) 21:52
MusicVoice