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【マレーシア】肥満人口の割合、域内で突出 労働生産年数の縮小にも影響

6/9(金) 11:30配信

NNA

 マレーシア人の肥満率が東南アジア諸国連合(ASEAN)で依然として突出していることが、英「エコノミスト」社が先ごろ公表した調査報告書で分かった。2014年の成人人口に占める肥満の割合は13.3%で、対象6カ国で唯一の2桁台。国内の大学教授は、所得の増加による劇的な食生活の変化に加え、24時間いつでも安価に食事ができる食堂の存在が肥満を助長しているとも指摘した。調査報告書は肥満による労働生産年数の縮小にも警鐘を鳴らしており、早急な対応が求められている。
 エコノミスト社の調査部門「インテリジェンスユニット」がマレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンの6カ国を対象に実施した「タックリング・オべシティ・イン・アセアン(Tackling Obesity in ASEAN)」の報告書によると、マレーシアの成人人口に占める肥満度指数(BMI)が30を超える人の割合は14年で13.3%となり、2番目に高いタイ(8.5%)、それに続くシンガポール(6.2%)などに大きく差をつける圧倒的なトップだった。BMIが25を上回る「過体重予備軍」は38.5%に上る。
 マレーシアの肥満率は前回調査時の10年にも10.5%の首位となった「肥満国」に位置づけられており、報告書では経済成長に合わせて脂肪と砂糖の消費量が急増したことを指摘。05年の脂肪と砂糖の消費量は、1960年比で80%、33%それぞれ上昇している。欧米の食事スタイルが入り込んだことに加え、伝統料理にココナツオイルを大量に使ったメニューが多いことが肥満を助長してきたという。また、マレーシア保健省の調査では、成人の92.5%で1日当たりの野菜摂取量が足りていないことを示している。
 ■「食」を愛する国民性
 保健省のザルマ・ビンティ・アブ・バカー栄養部門ディレクターは、マレーシア人の特性として食べることを非常に愛し、来客時にも食事でもてなす文化が色濃いことが背景にあるとしている。また、市中の食堂で脂肪量の多い不健康な食べ物が安い価格で売られ、1食当たりの量が多いことも要因だと分析した。地元紙ニュー・ストレーツ・タイムズによれば、マラヤ大学のサリーナ・ハニム・ハムザ准教授は、こうした食堂の多くが24時間営業で、時間に関係なく食べ物が得られる点も問題視している。
 マレーシアの肥満は、労働生産性の低下にも影響を及ぼしつつある。報告書では、肥満により縮小する労働生産年数も試算したが、マレーシアは男性で6~11年、女性で7~12年が肥満により失われており、男性はフィリピンに次ぐ2番目、女性は調査対象国で最も大きかった。労働生産年数が縮小すれば、退職年齢や平均年齢の低下にもつながる。
 ■肥満と疾病、結びつかず
 さらに、政府の医療費に占める肥満関連支出の割合も、マレーシアは10~19%と最大だった。ただ、保健省のザルマ・ディレクターは、「マレーシア人は肥満と疾病を結びつけて考えていない」と述べ、政府補助金で医療費が低額に抑えられていることを一因に挙げた。大半の国民は医療費を抑えるために肥満を予防しようという考えに至りにくい状態にあると分析している。
 保健省による15年の国家健康・罹患(りかん)率調査(NHMS)で、高血圧症の成人は全体の30.3%に当たる約610万人。糖尿病患者は350万人(全体の17.5%)に達した。さらに、高コレステロール症では、成人人口の約半分にあたる960万人が当てはまった。
 地元紙スターによると、俊敏性が任務に必要な警察官にも肥満が増えていることを受け、連邦警察は18年1月から警察官に対する肥満防止プログラムを開始すると明らかにしている。昨年、既に36人を対象にした試行が行われ、ジムや水中ダンス、登山などを組み合わせたエクササイズで26人が減量に成功した。
 マレーシア以外の調査対象国では、インドネシアの肥満増加率が際立った。14年の肥満率は5.7%と低いものの、前回調査時との比較では33%上昇した。過体重予備軍の割合は24.5%。マレーシア同様に野菜の摂取量が不足している人の割合が9割を超えるほか、都市部では深刻な交通渋滞で食事を用意する暇がなく、脂肪や炭水化物の多い加工食品や調理済み食品をとることが増えていることが要因に指摘されている。

最終更新:6/9(金) 11:30
NNA