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『Gears of War 4』プロデューサー、ロッド・ファーガソン氏に聞く 「シリーズを継続するためには、新しい主人公が必要だった」

6/9(金) 16:42配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●ロッド・ファーガソン氏に単独電話インタビュー
 2017年5月25日、日本国内にて、日本マイクロソフトよりXbox One/Windows 10 PC用ソフト『Gears of War 4』が発売された。ご存じの通り、『Gears of War』シリーズは、『Halo』シリーズなどと並ぶ、マイクロソフトスタジオのフラグシップタイトル。2006年(日本国内では2007年)~2011年にかけてリリースされた『Gears of War』三部作は、その重厚なストーリーやマルチプレイの楽しさなどから、多くのファンに愛されてきた。あの男くさい世界観に魅せられた方も多かったのでは?

 一端完結した『Gears of War』だが、2015年のE3 2015に合わせて行われた“Xbox E3 2015 Briefing”にて再始動が発表。初期三部作のプロデューサーであったロッド・ファーガソンがみずからのスタジオを立ち上げて、『Gears of War 4』を開発中であることを明らかにした。「待望の新サーガが始まる!」ということで、大いに沸いたアナウンスだったのが、翌年のE3 2016で、日本のファンにとっては悲しいニュースがもたらされることになった。“表現が日本の倫理基準に適合しない”との判断から、『Gears of War 4』の国内での発売が見送られることになったのだ。

 その後、『Gears of War 4』は、2016年10月11日に欧米などで発売され、好評を持って迎えられることになる。Xbox Oneの機能である“Language Region Independence”により、海外版でも日本語字幕に対応しているため、海外版の『Gears of War 4』を求めたファンも多かったようだ。

 ところがそこから状況が一変。翌年(つまり今年)4月に、『Gears of War 4』国内発売決定がサプライズ発表されることに! これは、海外版を購入する機会のなかった日本のファンに、『Gears of War 4』に触れる機会をもたらしたということもさることながら、マイクロソフトの看板シリーズの最新作が、“日本市場でしっかり発売された”ということの持つ象徴的な意義も大きいように思われる。

 と、くだくだしく経緯を書き連ねてきてしまったが、それだけ『Gears of War 4』は国内発売に向けて紆余曲折の激しかったタイトルであり、5月25日の日本語版の発売日は、記者もちょっと感慨ひとしおだった。……と、そんな感慨が海の向こうに伝わったのかどうか、『Gears of War 4』の開発元であるThe Coalitionのプロデューサー、ロッド・ファーガソンが電話インタビューに応じてくれるというのだ。というわけで、以下に、ロッド・ファーガソンとのやりとりをお届けする。

■より魅力的なキャラクターを心掛けて……
――満を持して『Gears of War 4』が日本で発売されましたが、率直なご感想を聞かせてください。

ロッド とても嬉しいです。『Gears of War』シリーズはこれまでも日本でリリースされており、ファンの皆さんに楽しんでいただいているので、今作もお届けすることができて、とてもワクワクしています。『Gears of War 4』は、2016年10月の発売以降、毎月アップデートを行っており、すでに7回を数えているのですが、日本のファンはベストな状態で始めてもらえると思います。過去には、たとえば1作目の『Gears of War』は、日本語版とそのほかの地域ではバージョンが違っていたため、アップデートもDLCの内容も異なっていましたが、本作では内容は同じなので、アップデートも共通となります。

※電話インタビュー後に、『Gears of War 4』発売以降最大のアップデートとなる“Rise of the Horde”が配信開始された。
[関連記事]『Gears of War 4』発売以降最大のアップデートとなる“Rise of the Horde”が配信開始 Horde 新スキルや新難易度、新マップなど充実の内容に!

――『Gears of War 4』でもっとも注力した点を教えてください。

ロッド 『Gears of War』というゲームは、3つの“パーツ”から構成されています。キャンペーン、Horde、そしてマルチプレイです。『Gears of War 4』では、この3つのパーツに均等に注力することを心掛けました。これまでは、キャンペーンあるいはマルチプレイヤーに重心を置き過ぎたこともありました。今回は3つのモードすべてに注力していることを確認して作ってきました。
 また、ストーリーを語る上でこれまでよりコンテンポラリ(今日的)になるように努力しました。これが、キャラクターやゲームのトーンになっています。これまでのような、ときにコミックブック的にも見える並外れたキャラクターや白黒でしか感情を表現できないような人物造型を卒業して、より洗練された、グレーの濃淡のニュアンスを表現できるような、人格に深い意味を含んだキャラクターへと変化させました。そのうえで、全体的にこのトーンが適切なものになるように、注意しました。

――キャラクターも、よりリアルに……ということですね。

ロッド 私は、新しいスタジオで、多くのファンを持つフランチャイズを担当することになって、シリーズの“見守り役”になりました。『Gears of War』を優れたゲームにしている要素を壊さないようにすることに最新の注意を払っています。『Gears of War』の本質を追求し、真正面から向き合って、“本物の『Gears of War』である”と感じられるものにすることが重要だったんです。“これまでの名声に恥じないものでなければならない”という思いはありましたね。

――前作から25年後が舞台となっていますが、時代設定を25年後にした理由を教えてください。

ロッド ストーリーの流れから見て、25年後というのは適切な設定だと思いました。もちろん、前作からそのまま受け継ぐ内容も含めて、いろいろなオプションを検討したのですが、時代設定を移すいい時期だとも判断したんですね。スタッフ内では、“Gears of War the Next Generation”と、冗談で呼んでいました。セラという世界で、ファンの皆さんが親しんでくださったことや、キャラクターは保ちつつ、未来に進めたいと考えたのですが、あまり先に進めてしまって、すべてのキャラクターがいなくなってしまったり、まったく違う場所や時代設定になるのはよくないと話し合いました。

――おなじみのキャラクターが登場するのは、ファンにとってはうれしいことですね。

ロッド はい。ある程度先へ進めて、希望すればマーカスにも会えます。そして、新しいヒーローは戦うことのできる年齢に達しているようにしたいと考えたんです。25年であればマーカスを登場させて、さらに新しいキャラクターも入れられますからね。

――『Gears of War 4』で、“キー”となると思っているキャラクターは誰ですか?

ロッド ストーリー的には、マーカスの息子であるJ・Dがメインキャラクターとなってヒーローの灯火を引き継いでいくわけですが、ゲーム自体はカイトと彼女のストーリーが中心となって展開しています。彼女の母親を見つけて救出することがプレイヤーのミッションだからですね。そのため、カイトはとても力強く、重要な役割を果たしています。開発を進める中でわかってきたのは、カイトの役割がどれだけ重要で意味のあるものかということでしたね。一方で、さきほど“灯火を引き継ぐ”という話をしましたが、マーカスは橋渡し役を担っています。『Gears of War』三部作をプレイしてきた方たちが、未来に向かっていく中で、過去へのアンカーとして重要な役割を果たすんです。

――シリーズでは、マーカスは非常に魅力的な存在でしたが、新しい主人公としてJ・D・フェニックスを持ってくることは、決断ではなかったのですか?

ロッド もちろんです。それはとても大きなチャレンジでした。マーカスはヒーローとしてアイコニックな存在であり、J・Dを創るにあたっては、熟慮が必要でした。マーカスをデザインしているときは好きなように創ることができたのですが、J・Dの場合は、マーカスとアーニャが両親だとわかっているので(設定が)制限されます。つまり、このふたりの子どもであることが信じられるように創らないといけなかったんです。これが難しかった!

――確かに……。ゼロから創るわけではないですからね。ファンの持つイメージがある。

ロッド とにかく、マーカスのようにアイコニックなキャラクターにしたかったんです。過去のシリーズ作を振り返ってみると、世界はマーカスを変えることはなかったのですが、マーカスが世界を変えました。イベントに影響を与えることはあっても、ゲームを通じて彼が変化することはなかった。J・Dというキャラクターを造型するにあたり、彼の若さと人生についての考えかたによって、ストーリーが変化する人物にしたいと思いました。『Gears of War』フランチャイズの中での彼の役割として、彼が生きたストーリーや彼の戦いが彼自身に影響を与え、キャラクターとして変化することを、これからの彼に期待しています。

――J・Dを世に問うにあたって、不安はなかったのですか?

ロッド さすがにちょっと怖かったです(笑)。マーカスのようなファンに人気のあるキャラクターから離れる決断をした場合、マーカス・フェニックスの新しいゲームを作るべきか、新しいキャラクターに移行して新しいストーリーを語るべきか……自問しました。人気のあるキャラクターから離れたら、「ファンは前ほどこのゲームを好きになってくれないかもしれない……」と心配になりました。ですが、新しいストーリーを展開するには、ヘッドルーム(空き高)と新しい時代が必要でした。同じマーカスのストーリーをくり返していては、『Gears of War』を維持できなくなると判断したんです。

――シリーズ存続のためには、新しい主人公が必要だったということですね。

ロッド はい。新しいキャラクターを紹介すると決めて、“灯火”をマーカスからJ・Dに渡せるようにしたいと考えて開発に取り組んできましたが、結果には満足しています。私たちが未来に向けて登場させたJ・D、デル、カイトの3人は、とてもすばらしいキャラクターだと思います。

――『Gears of War』シリーズというとHordeですが、今回Hordeで注力したポイントは?

ロッド 緊迫感のあるゲームプレイを取り戻したいと思いました。どこでどのように防御するかは、プレイヤーが決めるようにしたかったんです。『Gears of War 3』では、要塞は事前に設置されていて、タワー・ディフェンスゲームにようになっていました。プレイヤーは、どのディフェンスを作動させるかを決めるだけだったんです。マップのどこでどう生き残るかといった戦略を立てることについて、プレイヤーにはあまり自由がなかった。『Gears of War 4』では、どのツールにするか、どのディフェンスを使うか、マップのどこで防御するかといった、選択の自由を提供したいと思いました。

――ゲームプレイの幅を広げることで、緊迫感が増すということですね。

ロッド プレイヤークラスを導入したので、プレイスタイルも選べるようになりました。私のようにサポートが好きなら、セントリーを構築したり、タレットを修理したり、障害物を設置したりできます。スナイパーライフルの名手なら、遠距離から攻撃するというスタイルを優位に使って、ボーナスを得たりすることもできる。本作ではHordeを構築するにあたって、“プレイヤーが好きなスタイルでプレイする”という選択肢を与えたかったんです。

――ところで、ゲーム中で、映画『パシフィック・リム』へのオマージュではないか……と思われるシーンが見受けられますが、やはり影響を受けているのですか?

ロッド ああ(笑)。ゲーム終盤でMechが出てきますが、このデザインをしているときは『パシフィック・リム』を意識して、あまり似すぎないように注意しました。協力プレイ時は、ふたつの異なるMechを操ることになっています。当初は、ひとつのMechをふたりで操作することも考えていたのですが、あまりに『パシフィック・リム』に似ているので、ボツにしました。『パシフィック・リム』はエキサイティングですばらしい作品で、大いにインスパイアは受けていますが、だからこそ、意識して似すぎないように気をつけました。ちなみに、極めて興味深いことに、『パシフィック・リム』のコンポーザーであるラミン・ジャヴァディは、『Gears of War 4』のコンポーザーでもあるんです。そういう意味では、音楽のテイストは共有しているかもしれませんね。

■Project Scorpioはビジュアルクオリティーが圧倒的
――J・DがCOG(統一連合政府)を脱退した経緯など、語られていないエピソードなどもありますが、ノベル化などでサーガが描かれる可能性はありますか?

ロッド 『Gears of War』シリーズにはつねにミステリーがあるわけですが、フランチャイズとしてはゲームを超えた世界観を考慮しなくてはいけないと思っています。ひとつのゲームではなくて、“サーガ”を提供する。ゲームでは、プレイヤーに満足していただけるような意味のあるひと区切りのストーリーをお届けしますが、それだけではなくて、あえて語られなかった部分も提供して、異なる形で探索をしていけるようにしていきたいと思っています。ゲームはもとより、他メディアでいろいろな形で展開することで、“探索”して、答えを見つけることができるように。フランチャイズはひとつのゲームよりも大きなものであり、さらに謎を探求していきたいですね。

――『Gears of War』の映画化が明らかにされていますが、進捗などありましたら、お教えください。

ロッド シェーン・サレルノが脚本を担当することは発表したばかりです。これまでに『アルマゲドン』の脚色を担当し、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』続編の脚本を手掛けることになっています。シェーンといっしょに仕事ができることにワクワクしていますよ。
 プロデューサーとしては、ディラン・クラークを迎えました。彼は多くの作品を手掛けてきていて、現在は『猿の惑星』シリーズの最新作に取り掛かっています。
 ちょうど、ロサンゼルスでシェーンやディランとミーティングをしてきたところで、ストーリーは順調に進行中です。

――ずばり、『Gears of War 5』は期待してもよろしいのでしょうか? もしかして、じつはE3で発表されます?

ロッド (笑)。先ほどお話したように、フランチャイズはひとつのゲーム以上のものですが、いま言えることは何もありません。

――『Gears of War 4』とは関係ありませんが、せっかくの機会なので……。E3でProject Scorpioの詳細が発表されますが、Project Scorpioは今後のゲーム開発になにをもたらしてくれるものと期待していますか?

ロッド 一般的に、Project Scorpioのようなパワー溢れるマシンによって、多くのことが可能になります。4Kやハイダイナミックレンジ、などの新しい要素によって、ゲーム本来のありかたでプレイしてもらえるようになります。たとえば、私たちが『Gears of War 4』を開発するときには、4Kテクスチャで作っています。4Kでプレイすれば、デベロッパーが作った通りのゲームをプレイできます。アーティストが意図したものと、プレイヤーが見るもののあいだにあった壁を取り去ることができるんです。このパワーを使うことで、より没入感のある経験が得られるわけです。さらには、Project Scorpioでは、Xbox Oneとの互換性を確保することで、過去に購入したゲームも含めてデジタルライブラリーが楽しめます。Project Scorpioのようなプラットフォームがあれば、デジタルライブラリーをつねに持って移動できるようなものです。こうしたことは大事だと思いますね。

――Project Scorpioはネイティブ4Kであることを訴求していますが、ネイティブ4Kの魅力はどの点にあるのですか?

ロッド ビジュアルクオリティーです。今年のE3でご覧になることになるかと思いますが、4Kがもたらすディテールのレベルには驚くべきものがあります。HDテレビが登場したころに、それまでは気づかなかったディテールに目がいくようになりました。それと同じようなものです。スタンダードからHDに移行したときと同様に、1080pから4Kへの移行は、ビジュアルフィデリティ(視覚的忠実度)のレベルが格段に上がります。そこにハイダイナミックレンジカラーが加われば、明るさや照明はさらに鮮明になり、影はより暗くなります。カラーメソッドのカラーの選択の幅も広くなってくる。ビジュアルに関して、このようなことが可能になるというのは驚くべきことです。

――ちなみに、つい気になって伺ってしまうのですが、The Coalitionってどんな会社ですか?

ロッド (笑)。すばらしい会社ですよ! The Coalitionは、起業家精神溢れるスタジオで、カナダのバンクーバーにあります。マイクロソフトという大企業の傘下にはありますが、スタッフは独立心を持って行動しています。自分たちを“起業家”と考えて、すべてを自分たちでやるというスタンスですね。ちなみに、スタジオ内で“GSD”というプログラムを立ち上げました。“GSDアワード”もあって、Tシャツも作っています。大企業を笠に着ることなく、効率よく仕事をした人に与えられます。“GSD”というのは“Get Shit Done(物事を済ませる)”の略で、私たちのスタンスをよく表していると思います。私たちのミッションは、仕事をやり終えることです。これをスタジオのカルチャーの一部としています。

――Coalitionというのは“連立”という意味ですよね? 社名の由来を教えてください。

ロッド 選んだ理由はふたつあります。ひとつは、『Gears of War』シリーズに関係があります。『Gears of War』の中に出てくるCOGは“The Coalition of Ordered Government”なので、Coalitionという名前は『Gears of War』フランチャイズに通じるんですね。『Gears of War』を作るスタジオなので、私たちの仕事を示す社名がいいと思いました。The Coalitionと聞いたら、『Gears of War』フランチャイズに関わっているということがすぐにわかりますからね。
 あと、辞書のうえでは、Coalitionというのは、“ひとつの目的、あるいは共有するゴールを持って集まった多様な人たちのグループ”という意味なのですが、私たちはまさにそのような集まりです。地理的にも、業界内の分野でも、さまざまなところから集まってきています。まさにCoalitionそのものを体現していると言っていいでしょう。私たちにぴったりな名前だと思いました。

――最後に、まだ『Gears of War 4』をプレイしていない人に向けてメッセージをお願いします。

ロッド ぜひプレイしてください!(笑)。『Gears of War』シリーズを遊んだことがない人にとって、『Gears of War 4』は初めてシリーズをプレイするには最適なゲームです。
新たな始まり、新鮮なスタートなので、『Gears of War』の“4”に怖気づく必要はありませんよ(笑)。大いなる脅威から人類を守る行動から活力を感じられる、とてもすばらしい経験になると思いますので、興味がある人はぜひプレイしてみてください!

最終更新:6/9(金) 16:42
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