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医療IoTシステムの国内市場は2025年に2倍に成長、AI関連は4倍に――富士経済調べ

6/9(金) 13:02配信

ITmedia エンタープライズ

 富士経済は6月8日、医療分野におけるIoT、AI関連の国内市場規模についての調査結果を発表した。調査結果から導き出した将来予測によると、医療分野におけるIoT関連機器、システム市場は、2025年には1685億円となり、2016年の2.2倍に達するという。また、AI関連市場は2025年には150億円と予測され、2016年の4.1倍になるという。

【医療分野におけるAI関連の国内市場の推移】

 医療分野におけるIoT関連機器、システム市場の成長予測要因として、同社は、2014年11月に施行された「医薬品医療機器等法」の効果を挙げる。スマートデバイスやスマートフォンのアプリケーションなどが医療機器として承認されるようになり、市場拡大の環境が整ったとしている。

 調査は「通信機能搭載型人工臓器」「治療・モニタリング機器・システム」「その他医療関連IoTシステム」「AI技術活用システム」の4ジャンルを対象に実施。

 通信機能が埋め込まれた人工臓器やウェアラブル型機器などの「通信機能搭載型人工臓器」は、IoT化によるリアルタイムモニタリングを生かした在宅治療や、機器の不具合や病態の急変への遠隔対応ができることから需要が増加。特に不整脈治療に不可欠なペースメーカーや埋込型除細動装置の占める割合が大きく、後期高齢者の増加に伴う需要増から、2025年の市場は2016年比55.8%増の1058億円と予測する。

 IoTモニタリングができる機能検査装置や治療機器を含む「治療・モニタリング機器・システム」は、在宅医療や遠隔医療の拡大などに伴い、対応装置や機器の市場が徐々に拡大。中でもウェアラブル型脳波計は、今後大幅な伸びが予想されるという。価格の下落が進み、日常的に脳波管理が必要な中枢神経系疾患への対応として、一般病院や診療所での需要喚起が期待されることもあり、2025年の市場は150億円と予測している。

 遠隔医療支援、服薬管理支援、遠隔監視(在宅患者見守り)を対象とした「その他医療関連IoTシステム」については、在宅医療や介護関係者の人手不足解消、患者家族の体力的・精神的負担軽減に対応できることから、需要増加が見込まれるという。また、遠隔監視(在宅患者見守り)システムは、現在は介護施設やサービス付高齢者住宅などを中心に、ナースコール機能などが付いたシステムとして普及が進むが、今後は、生体センサーやAI機能が付加された高機能システムへの切り替えが進むとみている。

 医療分野におけるAI関連市場については、「AI創薬システム」「製薬企業向け営業支援AIシステム」「診断支援システム、類似症例検索システム」を分析した。

 製薬企業の実験結果やレセプトデータ、論文データなどを含めたビッグデータをAIで分析し、新たな創薬に結び付ける「AI創薬システム」は、医薬品企業やバイオベンチャーを中心に普及が始まった段階。今後は、創薬技術の向上による競争力の維持の対応策として需要が拡大し、2025年には70億円の規模になるという。

 製薬企業の営業データや顧客データ、医療施設の動向や地域情報といったビッグデータをAIで複合的に分析し、MRの営業活動の最適化などを図る「製薬企業向け営業支援AIシステム」は、現在は一部の大手医薬品企業が先行採用している状況。医師への効率的な情報提供に活用する需要が見込まれ、先行企業による成功事例が浸透すれば、一気に普及が進む可能性もあるとみている。

 症例データや電子カルテデータをはじめとしたビッグデータを、AIで分析して医師の診断や治療方針決定の支援を行う「診断支援システム、類似症例検索システム」は、現状では需要は限定的だという。今後、システム用途の広がりや精度の改善に加え、AIによる診断や治療の支援も診療報酬の対象となるとみられ、市場の活性化が期待されるとしている。

 調査期間は2017年1~3月で、調査方法は、同社の専門調査員による参入企業、関連企業、団体などへのヒアリングと、関連文献調査、社内データベースを併用した。