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<商工中金>経産省に業務改善計画を提出 再発防止策盛る

6/9(金) 21:04配信

毎日新聞

 国の制度融資「危機対応融資」を巡る不正問題で、商工中金は9日、所管する経済産業省などに業務改善計画を提出した。不正の全容解明を9月末までに行うとしたほか、不正の温床となった融資ノルマ廃止などの再発防止策を盛り込んだ。

 商工中金の安達健祐社長(元経産省事務次官)は同計画提出後、記者団に「再発防止策を講じるのが私の責任」と引責辞任を否定したが、商工中金には金融庁が立ち入り検査を行っており結果次第では、経営責任の一層の明確化が迫られそうだ。また、経産省の天下り官僚が歴代トップを占めてきたガバナンス(企業統治)の抜本的な改善や、近年は円高対策など当初の制度の趣旨を離れて活用されている危機対応融資そのものの見直しを求める声も出ている。

 金融危機や大災害などで経営が悪化した中小企業に低利融資を行う危機対応融資について、商工中金は借り手が融資を受けられるように業績関連書類などを改ざんしていた。第三者委員会の調査によると、全国92支店中35支店で計816件、198億円分の不正が行われていた。ただし調査の対象は危機対応融資が行われた約22万件の口座のうち、約1割の2万8000件にとどまっており、今後、不正件数がさらに膨らむ可能性がある。

 商工中金は9日提出した工程表で、残る約19万2000件について、9月末までに調査を終えると明記。外部の弁護士約10人や公認会計士約100人を含む700人超の調査体制を整えた。安達社長ら役員への聞き取りなども行い、不正への関与や責任の有無を調べるとしている。

 再発防止策では、危機対応融資の獲得目標を支店に課すノルマを昨年12月に廃止。本部が危機対応融資が適切に行われているかの確認・事後検証を徹底できるように、社内メールの保存期間(従来は65日間)を5年以上に延長する。

 商工中金に対しては、金融庁などが5月24日から立ち入り検査を実施しており、不正を生んだ組織上の問題点や、経営陣の関与の有無などを徹底調査する方針。商工中金による内部調査も合わせて、経産省などは今後追加の行政処分を検討する考えだ。

 世耕弘成経産相は9日の閣議後記者会見で、不正融資問題について「数字の改ざんの可能性を前提に、立ち入り検査の頻度を上げることも考える」と述べ、監督を強化する意向を示した。また、危機対応融資については「(商工中金の不正の)全容解明を待って、よく議論をしていく」と述べ、制度を見直す可能性を示唆した。【小川祐希、小原擁】

最終更新:6/9(金) 21:53
毎日新聞