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仲代達矢、黒沢明監督の「影武者」で俳優たちが3日間のストを起こしていたこと明かす

6/9(金) 18:57配信

スポーツ報知

 俳優の仲代達矢(84)が黒沢明監督の「影武者」(1980年)の撮影時に、俳優たちが3日間のストを起こしていたという秘話を明かした。8日に主演映画「海辺のリア」公開を記念して行われた「4Kデジタルリマスター版『影武者』上映会」で撮影秘話を語った。

 「黒沢さんの映画は、役者はアスリートでありまして、危険なこともあった。なぜか、日本映画はスタントがいない、救急車が何台も待機していてた。川に流されるシーンではあんまり苦しいので、顔を上げるとNGになってやり直しになりました。泳げないんです。東京育ちで戦争中だったもんで、プールなんかもありませんでしたから」という。

 戦闘シーンで落馬し骨折、全治1か月のケガを負ったことも。しかし「他の役者を待たしちゃいけないと、1週間で病院を逃げ出しまして撮影に復帰した」と当時の様子を紹介した。

 「40年もたってしまいましたから、記憶力もあれですけど、一番かかったの費用は馬代だったそうです、次が衣装代、甲冑やなんかで役者は安く上がったんじゃないかと」と笑った。

 勝新太郎さんの代役で武田信玄役に抜てきされた。「勝さんから『俺、黒沢組でやるんだよ、どうだい?』と聞かれ『勝さん、黒沢さんの事は、全部聞いてやった方がいいよ』と言ったんですが、『そうかい、それじゃそうするよ』と勝さんが言ったんだけど、ちょっと危ないなと思っていたら、細かい事は分かりませんがきっと、勝さんは自己主張されたんでしょう。黒沢さんは『仲代は空いてるか』ということになった」。

 代役を受け、記者会見で「光栄です」とコメントしたところ、役者の仁義に欠けるとバッシングを受けた。主演が途中で変わるという前例がない状況で仲代は「信玄の方は、私にあっている役だったが、(影武者の)泥棒の方は勝さんのイメージが出てくるんです。そういう幻影に襲われながらやりました。でもカンヌでグランプリをとれたことで解放されました」と話した。

 300頭の馬を使った長篠の戦いのシーン「北海道じゅうの獣医さんが来て、馬に睡眠剤を注射するんです、そうすると馬がマヒして、倒れるんです。いっさいCGは使っていませんから。馬が倒れるんですが、麻酔が覚めて、起きあがるんです、人間は起きあがるわけにはいかない、亡くなってるんですから。馬のひづめがわーと頭にきたりするんです。危ない状況でも、黒沢先生が『馬は動いてもいいけど、人間はじっとしてろ』とメガホンで怒鳴った。危険なんで、いくら何でもひどいと俳優たちが3日間ストライキ起こしました。プロデューサーの野上さんと団交しまして次に進行していきました」という秘話を明かした。

 カンヌ映画祭でグランプリを受賞した。「世界の黒沢ですから、特に日本より、世界が評価した。先生は一言、『どうもありがとうございます、これからも勉強します』この一言でスタンディンで拍手がきました」と思い出を語った。

 新作の「海辺のリア」(小林政広監督)に主演している仲代は「84歳で、もっとも高い高齢者でも、老いてますます自由になる。老人は束縛から逃れて、安らかになって世の中を全うするという映画。喜劇です」と話した。

 「昔の役者ですから、セリフを全部覚えて、スタジオには台本を持って行かないんです。長いんですよ、今。フィルムの時代は10分、今はデジタルで20分でも30分でも回せる。小林監督のは全部覚えていかないとダメなんです」と仲代。

 仲代は「『人間の条件』『切腹』という映画の出演で私を育ててくれた小林正樹監督がいまして、小林政広監督と1字違いなんです。なんか縁はある気がします。」と話した。

 仲代の主宰する無名塾では10月から「肝っ玉おっ母と子供たち」という舞台を上演する。「今、セリフを覚えて勉強中なんですけど、最後のつもりで頑張ります」と締めくくった。

 4Kデジタルリマスター版の「影武者」はBS日本映画専門チャンネル(BS255ch・2kダウンコンバート放送)6月25日(日)後9時、スカパー!4K(596ch)6月26日(月)後6時ほか4K放送される。

最終更新:6/9(金) 18:57
スポーツ報知