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ジーンズのテーマパーク化推進 ベティスミス本社一帯、滞在型産業観光地へ

6/9(金) 1:00配信

山陽新聞デジタル

 ジーンズメーカーのベティスミス(岡山県倉敷市児島下の町)は、本社一帯で「ジーンズのテーマパーク」づくりを進めている。伝統産業と観光を組み合わせた取り組みは、国内で初めてジーンズの歴史資料館を開いたのを皮切りに足かけ15年。今春にはショールームを兼ねた直営ショップや憩いの場となるガーデンを整備した。同市の繊維産業の歴史・文化が4月、国の「日本遺産」に認定されたことも視野に、滞在型の産業観光スポットに進化させていく考えだ。

 ショップでお気に入りの品を探すカップル、ジーンズの製造工程や歴史を紹介する資料館「ジーンズミュージアム」で年代物のデニム製品やミシンに見入る年配の夫婦、芝生広場を駆け回る子どもたち…。5月下旬の休日、ベティスミス本社は幅広い世代の来訪者でにぎわっていた。

 「ジーンズミュージアム&ヴィレッジ」と名付けた取り組みは2003年のミュージアム開設を機に始まった。各地から愛好家が訪れるようになり、規格外品や旧モデルを格安で販売するアウトレット店、顧客がデニム製品に好みの装飾や色落ちを施せる加工体験施設などを順次整備した。

 当初は千人ほどだったミュージアムの来館者は年々増え、昨年は約4万人、今年は5万人ペースという。入り口の記帳用ノートには東京、京都、滋賀、福井、香港、タイ、英国など国内外の住所が記されている。

 ヴィレッジの核に据えるのは「日本一古いジーンズ工場」の看板を掲げる本社工場だ。1965年、児島地区でジーンズの量産が始まった当時から稼働している生産拠点を見学できるようにした。

 4月には自社の全商品を並べた直営ショップやドッグランも備えたガーデンを新設。ジーンズの知識を深めたり、買い物したり、ドライブの休憩に立ち寄ったりと楽しみ方の幅が広がった。

 老舗メーカーの本社に人を呼び込む発想について、「日本ジーンズ物語」の著書がある就実大の杉山慎策副学長=ブランド戦略論=は「ものづくりに特化していた児島のジーンズ業界に新しい流れを作り、産地全体のブランド力を高める呼び水となった」とみる。

 「ジーンズの聖地」「国産発祥の地」と注目されるようになった児島地区では多彩なショップが集まる児島ジーンズストリート(倉敷市児島味野)もでき、にぎわっている。

 ベティスミスはさらに「ビレッジから、よりじっくりとジーンズ文化に触れてもらう『リゾート』に発展させたい」と、社員寮を活用した民泊の受け入れやカフェの設置も構想。日本遺産認定で繊維産業の歴史的魅力や特色を国内外に発信する地域の動きを後押しする。