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「信頼地に落ちた」警官逮捕、事件当日も110番受ける業務についていた 同僚、ショック隠せず 福岡母子殺害

6/9(金) 10:23配信

西日本新聞

 「仲良し親子」を襲った惨事は、衝撃の急展開を迎えた。育児に悩んだ母親による早朝の無理心中との見立てから一転、殺人事件と断定され、現職警察官の父親が逮捕された福岡県小郡市の母子3人殺害事件。命と安全を守る警察官が妻をあやめてわが子の遺体を放置し、普段通りに出勤したのか。無理心中を偽装して捜査をかく乱した疑いもあり、中田充容疑者(38)が勤務する県警本部や一家の近隣には激震が走った。

⇒【画像】心中偽装、準備不十分か 目張りなく、母子3人殺害

 8日午後7時、中田充容疑者(38)の逮捕を受けて福岡市の県警本部で始まった記者会見の冒頭、久田誠警務部長は約3分30秒という異例の長さで頭を下げ続けた。「本県の警察職員がこのような重大な犯罪により逮捕されたことにつきまして、県民の皆さまに心よりおわび申し上げます」

事件当日も110番を受ける業務

 沈痛な表情の久田警務部長は、中田容疑者逮捕の決め手について「関係職員(中田容疑者)の取り調べを行い、本件に関係職員以外の関与が困難として逮捕に至った」と明かした。

 中田容疑者は県警本部の通信指令課に3交代制で勤務。事件当日も110番を受ける業務に就いていた。久田警務部長は「勤務状況に問題はなかった。家庭で問題を抱えているとは聞いていない」と語った。

 捜査状況に加え、不祥事が相次ぐ警察組織の体質についても質問が相次いだが「不祥事はそれぞれで、一概にこれが原因とは言えない」として「規律の保持を徹底する」と繰り返すばかり。なぜ不祥事が続くのか-。「答えとしては難しい」。報道陣のカメラのフラッシュを浴びながら、久田警務部長はそう答えるのが精いっぱいだった。

県警では今年に入り不祥事が相次ぐ

 これほどの重大事件で、県警本部長が記者会見に出てこない理由を問われると「警務部長である私が県警を代表しているということで理解してほしい」と述べるにとどめた。

 県警では今年に入り不祥事が相次いでいる。飲酒運転の巡査部長や、既婚であることを隠して未婚女性と結婚披露宴を開こうとした巡査部長もいた。留置管理課では、強制わいせつ罪で警部補2人が起訴されただけでなく、野球賭博を繰り返したとして6人が単純賭博容疑で書類送検された。警察官ではない一般職員も拾得物を着服したとして業務上横領などの容疑で書類送検されている。

 この日の記者会見で久田警務部長は「信頼回復に努める」と強調したが、ある県警幹部は「これで信頼が地に落ちた」。別の捜査関係者も「殺人は一線を越えている。失った信頼を取り戻すのは相当難しいだろう」と声を絞った。テレビ報道で中田容疑者の逮捕を知ったある捜査員は「市民に顔向けできない」とショックを隠しきれない様子。一線で捜査に携わる中堅警察官は「職場の士気が下がっている。みんな暗い表情をしている」と漏らした。

=2017/06/09付 西日本新聞朝刊=

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最終更新:6/9(金) 10:23
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