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宇宙で活用想定 軽量アーム開発 タグチ工業とJAXA 油圧ショベル用

6/9(金) 8:10配信

山陽新聞デジタル

 建設機械用アタッチメント製造のタグチ工業(岡山市北区平野)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、軽量の油圧ショベル用アームを開発した。将来、惑星探査の拠点となる宇宙基地の建設作業で活用することを想定。特殊なアルミ合金製と、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の2種類で、強度はそのままに重さを半分以下に抑えた。一般の建機への応用も目指している。

 アームは機械の関節部で、土を掘ったり鉄骨を切断したりするのに使うアタッチメントを取り付ける基幹部品。宇宙での扱いやすさを考慮して、1トン級の小型ショベル用を開発した。

 アルミ合金製は倉敷市内の金属加工メーカーが協力。穴を開ける位置や深さを工夫したほか、曲げ加工や溶接を行わない製法(特許出願中)で、重量を鉄製の半分程度に抑えた。CFRP製は、レーシングカーの開発を手掛ける東レ・カーボンマジック(滋賀県)と連携。型に合わせてCFRPシートを貼り合わせる手法で、重さは従来品の約3分の1になった。

 2種類とも長さは約1・05メートル。外部機関が行った実証実験では、軽量化により操作性が高まり、多くの土を短時間で掘削できる効果もあったという。

 プロジェクトは、JAXAが企業と連携して宇宙探査の技術開発に取り組む「イノベーションハブ」の一環。惑星で建設作業を行うには建機を地上から送る必要があるが、輸送費が重さ1キロ当たり1億円かかるともされ、軽量化が課題となっている。

 共同研究は昨年1月にスタートし、担当者1人をJAXAに派遣。必要とされる要素を聞き取りながら開発を進めてきた。今後はアームと本体をつなぐ部品「ブーム」の軽量化にも取り組む。

 タグチ工業はさらに、この技術を自社製品にも応用する計画。一般的な建機に軽量部品を採用すれば、燃費向上などにつながるという。同社は「プロジェクトの早い段階で成果を出せ、自信になった。岡山発の技術で宇宙開発に貢献できれば」としている。

 タグチ工業はアタッチメントメーカーとして国内トップクラスのシェアを持つ。1962年設立、資本金1200万円、グループ従業員約200人。売上高は非公表。