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八戸港から香港へリンゴ試験輸出 焦点はコスト

6/9(金) 9:47配信

デーリー東北新聞社

 青森県産リンゴを八戸港から香港に海上輸送する試験輸出が8日、物流会社など民間主導で始まった。八戸港からの県産リンゴの輸出は5年ぶり。現地到着後の品質などを検証し、内航船を活用した輸出体制の構築や物流の選択肢を広げる可能性を探る。一方、八戸港には主要輸出先の台湾や香港に向かう直行便がなく、外航船への積み替えを要するため、輸送時間や費用は現状の物流ルートよりも不利とされる。本格輸出に向けては、海運への移行やコスト抑制の優位性を示すことが重要となりそうだ。

 試験輸出は複数企業が参加。神戸市の物流会社が物流全般を手掛け、マルジンサンアップル(平川市)が津軽地方のリンゴを集荷。大果大阪青果(大阪市)北部支社が手配関係を担い、商社のTRAVESIA(同)を荷主として輸出した。

 県産リンゴを産地に近い港から輸出できる仕組みを構築するのが目的のほか、物流業の課題であるトラックの運転手不足を受け、貨物輸送を陸送から海運へ移行する「モーダルシフト」の推進も見据える。

 マルジンサンアップルの葛西万博社長は「農産物の収穫期である秋は慢性的にトラック運転手が不足する。津軽―八戸間は日帰り可能な距離で、八戸港を使えれば海外でリンゴのニーズが高い時期に輸出できる」と試験の意義を強調した。

 物流会社は今回の結果を検証し、輸送時間やコスト面などを精査。メリットがあると判断すれば、八戸港を活用した物流ルートを輸出関連企業などに提案するという。船会社には航路開設を働き掛け、八戸港から直接、外航路で輸出する体制も視野に入れる。

 8日は、八戸港ポートアイランド(八戸市豊洲)にある物流会社の拠点に関係者が集まり、コンテナ詰めの作業などが行われた。リンゴは津軽地方で昨秋に収穫後、貯蔵されていた王林で、10キロ入りのケース150箱分。フォークリフトを使用し、冷蔵・保冷機能が付いたリーファーコンテナ(20フィート)に積み込んだ。

 リンゴは内航コンテナ船に積まれ、同日夜に八戸港を出港。13日に経由地の横浜港で外航船に積み替えられ、香港には11日後の19日に到着する予定だ。

 県産リンゴは現在、京浜港や阪神港から台湾などに輸出されている。産地からの陸送を含めても5日前後で現地に届いており、輸送時間の面で不利な今回の試験輸出では、コストを抑えられるかが焦点となる。

 八戸港を活用した県産リンゴの輸出は、台湾に立ち寄る「東南アジア航路」が2012年4月に廃止されてから途絶えたままだ。八戸市商工課は「今回の事例が輸出関連企業に注目される契機となり、八戸港の利用促進や台湾航路の開設につながることを期待したい」としている。

デーリー東北新聞社

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