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英の政治情勢不安でEU離脱も混沌-強硬かソフト路線か混迷深まる

6/9(金) 15:23配信

Bloomberg

メイ英首相は欧州連合(EU)離脱交渉に臨む立場を強化する狙いから英下院(定数650)選挙の前倒し実施に動いたが、その賭けが裏目に出たことで、EU離脱のアプローチが新たな混乱に陥ることになりそうだ。

総選挙の最終結果の確定にはまだ数時間待つ必要があるが、メイ首相が目指していた保守党の圧倒的勝利には程遠く、改選前に占めていたぎりぎりの過半数さえ失う見通しである状況は既に明らかだ。

EUとの離脱交渉は再来週にも開始される予定だったが、遅れはほぼ確実な情勢。2019年3月の交渉期限までに残された時間は着実に減っているものの、今回の衝撃的な結果を受けて、英国のEU離脱の在り方が最終的に変わる可能性が出てきた。

保守党の過半数議席をさらに増やし、国民投票でメイ首相自身がEU離脱に賛成票を投じなかったことを記憶する最も熱心な離脱派60人前後に対し、党内にバッファーを確保することが、総選挙前倒しを首相が決めた理由の一つだ。

保守党が政権を降りなければ、メイ首相あるいはその後継者の下で離脱強硬派が引き続きキャスティングボートを握ることになりかねず、離脱交渉での妥協の余地が少なくなり、合意がないまま英国がEUを離脱する危険を伴う。

ただし保守党が与党にとどまっても、野党に対する議席数のリードがごくわずかであれば、EU離脱の戦略を見直さざるを得ない。その場合、入国管理のコントロールを取り戻すためにメイ首相が目指したように物品・サービスのEU単一市場から撤退するのではなく、EU離脱のアプローチは軟化の方向に向かう。

一方、最大野党・労働党のコービン党首が、大方の予想や批判にもかかわらず、少数与党あるいは連立政権の首班として政権を取ることも予想される。新たな政権は「悪い合意なら合意がない方がまし」というメイ首相の立場を転換し、融和的なアプローチが離脱の期日を遅らせる判断をEUに促すことも考えられる。

原題:Four Brexit Scenarios After May Loses Bid for Stronger Hand(抜粋)

Simon Kennedy, Robert Hutton

最終更新:6/9(金) 15:23
Bloomberg