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譲位特例法成立 茨城県民感慨深く

6/10(土) 7:55配信

産経新聞

 天皇陛下の譲位を可能にする特例法が成立した9日、県内からは、国民とともに歩まれてきた陛下のお体を気遣うとともに、長年のご苦労を改めていたわる声が広がった。 

 平成27年9月10日、鬼怒川の堤防が決壊して甚大な被害を受けた常総市。天皇、皇后両陛下は3週間後の10月1日には同市を訪れ、被災者らを見舞われた。

 「陛下は被災地には必ず足を運ばれて、ご公務もあるのに大変でしょう。でも、陛下がお見えになると、みんなあんなにも励まされる」

 市社会福祉協議会の元事務局長の滝本栄さん(61)は、そう語る。当時、全国から集まるボランティアをとりまとめる災害ボランティアセンターのセンター長も務めていたことから、両陛下からねぎらいのお言葉をいただいた。

 陛下はゆったりとした静かな声で「阪神・淡路大震災以降、ボランティアが増えて心強いですね」「体に気をつけて頑張ってください」などと語りかけられたという。滝本さんは「当時はまだまだ先が見えず疲れていたが、元気になれた」と振り返る。

 日に2千人以上が駆けつけた9月のシルバーウイークをピークにボランティアの人数は減少していたが、それでも数百人が被災地の復旧に力を貸してくれた。滝本さんは、センターを訪れたボランティアの人たちにも両陛下のお言葉を伝え、共有するようにした。お言葉は、ボランティアのモチベーションの向上につながったと感じている。

 特例法の成立について、滝本さんは「たくさんの常総市民が両陛下に励まされた。お元気なうちは続けていただきたいけれど…」と寂しさをにじませた。ただ、「ご高齢であり、譲位を望まれるのも致し方ない。譲位されるときまで、無理をせずにいてほしい」と話した。

 また昨年10月には、天皇、皇后両陛下はベルギーのフィリップ国王夫妻とともに結城市を訪問し、同市に伝わる神楽舞や伝統工芸品の結城紬(つむぎ)、結城桐下駄(げた)、結城桐たんすをごらんになった。

 桐下駄や桐たんすの説明係を務めた結城桐製品組合の柳田幸夫組合長(66)は「陛下は優しい言葉遣いではっきりと話されていた。とてもお元気そうで、ほっとしたのを覚えている」と当時を振り返った。また、陛下が地元の中学生らと予定時間いっぱいまで交流されているのを見て、「国民に寄り添われる陛下のお姿に胸がいっぱいだった」と感慨深げに語った。

 最も印象的だったのは、陛下が自らフィリップ国王に「桐は非常に軽く、成長が早いんです」と説明されていたことだという。柳田さんは「県の特産品のことを詳しくご存じだったのがとてもうれしかった」と話す。お帰りの際に皇后さまが「ありがとう」と声をかけられ、柳田さんは「つつましく素晴らしいお方だ」と感じたという。

 「互いに寄り添いながらわれわれに手を振られる両陛下のお姿を見られる機会が減るかもしれないと思うと、正直寂しい」と話す柳田さん。それでも「これまでさまざまな作法や礼節を守りながら、膨大なご公務に臨まれてきた。ご心労は私たちの想像以上だと思う」と語り、特例法の成立についても「歴史の流れの中で大切なこと。無理をなさらず、好きなご学問などに取り組んでいただきたい」と話した。

(上村茉由、丸山将)

最終更新:6/10(土) 7:55
産経新聞