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Apple新モデルで「MacBook」と「21.5インチiMac」を推す理由

6/10(土) 6:25配信

ITmedia PC USER

 Appleの情報を常にチェックしている読者ならばよくご存じだろうが、同社の開発者向け会議「WWDC」のセッションで報道陣が取材を許されるのは初日の基調講演のみだ。技術セッションは開発者として登録し、毎回争奪戦となるチケットを購入できれば参加できるが、当然ながら守秘義務が課せられる。

【MacBookの分解画像】

 WWDCはその年の後半(おおむね9~10月)に行われる基本ソフト(OS)の刷新を前に、開発者があらかじめ新しいプラットフォームに対応したアプリケーションを開発できるよう情報を出す場として存在しているからだ。その中には基調講演では触れられていない情報も多数ある。

 というわけで、WWDC 2017の取材は基調講演のみで終了……なのだが、今回は多数のハードウェア製品も発表されており、会場では実際の製品を試すことも可能だ。そこで、Mac製品を中心に新ハードウェア製品のインプレッションをお届けしたい。

 WWDC 2017で発表された「iMac」「MacBook」「MacBook Pro」の新モデルは、いずれもプロセッサを第7世代Intel Core(開発コード名:Kaby Lake)に更新しただけ……と思われがちだが、詳細を掘り下げると意外に細かな調整が入っている。

 こうしたラインアップの刷新では、どうしても全くの新シリーズ(発売は12月になるが「iMac Pro」という隠し球もあった)や上位モデルに目が向きやすいが、今回、最も印象に残ったのはMacBookと21.5インチiMacの2製品だ。

 新しいラインアップの中からMacを選びたいという方は、このこの2製品がどう更新されたのかをよく検討してから選ぶことをすすめたい。

●パフォーマンス向上とキーボード改善でより使いやすく――「MacBook」

 2015年の4月に発表されたMacBook(12インチ)は、2016年のモデルチェンジで新色のローズゴールドが追加され、プロセッサのアップグレードも受けていたものの、あまり大きな更新ではなかった。しかし、今回のMacBookは見た目こそ同じだが、使用感は大きくジャンプアップした。

 同時発表された「10.5インチiPad Pro」とJIS配列となった「Smart Keyboard」、それにこの秋にリリースされる「iOS 11」の組み合わせなら、WANモデルが存在しないMacBookより使いやすいシーンもあるだろう。ということで、MacBookの位置付けは微妙になったか? と感じたのだが、新型MacBookに触れてみると大きく適応範囲が広がっていた。

 理由は2つある。パフォーマンスの向上とキーボードのタッチ改善だ。

 MacBookにはIntel Core Mプロセッサが採用されてきた。「MacBook Air」や「13インチMacBook Pro」が搭載するCore iプロセッサは15~28ワットTDP(熱設計電力)枠の「U」プロセッサだが、このCore Mは4.5ワットTDP枠の「Y」プロセッサだ。

 タブレットデバイス向けのYプロセッサを基本に設計することで、約900グラムの軽さとファンレスのボディーを実現。そこに12インチの美しいディスプレイを組み合わせることで、ローエンドモデルではない、軽量かつプレミアム性の高い製品としていた。

 今回の場合、下位モデルはCore m3プロセッサ(1.2GHz)だが、上位モデルにはCore i5プロセッサ(1.3GHz)が設定され、BTOオプションではCore i7プロセッサ(1.4GHz)も選択可能となっている。もっとも、第7世代Coreでは従来のCore m5がi5に、Core m7がi7にブランド統合されたため、いずれも中身はYプロセッサだ。名称はCore i5/i7でもUプロセッサではない。つまり、いずれも従来機からの正常進化と言える。

 第6世代Core(開発コード名:Skylake)と、新型機に搭載される第7世代Coreの違いは、CPU内蔵GPUを用いた一部のメディア処理が改善されているだけで大きな違いはない。生産プロセスの違いによる若干の消費電力などの特性変化のみなので、素直にクロック周波数の違いでパフォーマンスを想像すればよい。

 従来機は1.1GHzおよび1.2GHz、オプションで1.3GHzだったので、それぞれ100MHz程度の違いしかない。ただし、Turbo Boost時のクロック周波数が大きく向上している(下位モデルは2.2GHzから3.0GHz、上位モデルは2.7GHzから3.6GHz)こともあり、普段使いではストレスを感じない程度にパフォーマンスは向上している。

 筆者は2年前の初代機を使っているが、1世代ごとの違いは小さいものの、さすがに2世代前と比べると使用感は向上しており、少しブラウザを動かした程度でも軽快になっていることが実感できた。詳細なベンチマークテストは行えていないが、内蔵SSD(フラッシュストレージ)が50%高速化されているそうで、これが使用感の大幅な向上に寄与しているのだろう。

 加えて、超薄型化のキーテクノロジーとなっていたバタフライメカ採用のキーボードが、「MacBook Pro」と全く同じ機構設計の第2世代へと切り替わっている。実は筆者は第1世代のキーボードも嫌いではないのだが、ちまたでの評判は決してよいとは言えないものだった。

 実際にタイプしてみるとMacBook Proとはわずかに感触が異なるが、MacBook Proの13インチモデルと15インチモデルも同様にわずかな違いはある。近くにいた製品担当者に尋ねたところ、キーボードの機構設計は全く同じで、感触の違いは主に本体のサイズや重さによるものだろうとのことだ。

 外部端子がヘッドフォン出力とUSB Type-C(USB 3.0 Gen 1)しかなく、Thunderbolt非対応な点は従来機と同じだが、2年前と比べるとUSB Type-C対応ポートリプリケーターなどの周辺機器が充実しているため、選びやすくなった。

 高いプロセッサパワーを必要としないが、高精細で美しいディスプレイ、切れのよいタッチで打ちやすいキーボードを搭載した軽量機が欲しいのならば、BTOオプションにメインメモリを16GBに増やす選択肢が加わった点も含め、MacBook Airからの乗り換え先として検討したい製品になっている。

 ただし、MacBookはなかなか高価な製品だ。Core i5搭載の上位モデルは17万5800円(税別、以下同)、プロセッサとメモリをアップグレードすると21万4300円だ。USB Type-C対応の周辺機器を持っていない方は、その購入費用も必要になる。

 MacBook Airも1.8GHzに駆動周波数を高めたバージョンにマイナーアップデートされており、なおかつ価格は圧倒的に安い。価格重視ならば、いまだにMacBook Airが魅力的という方も少なくないかもしれない。

●ディスプレイと外部GPUの強化がポイント――「21.5インチiMac」

 一方の21.5インチiMacに注目した理由は、これまで最上位構成にしかなかった4Kディスプレイ(16:10アスペクト、4096×2304ピクセル)を採用したモデルが拡大され、さらに外部GPU(Radeon Pro)が搭載されたからだ。

 従来モデルの場合、27インチモデルにはRadeon R9が搭載されていたものの、21.5インチモデルはCPU内蔵GPUを使っていた。そのため、外部GPUの採用でグラフィックス処理のパフォーマンスは一気に3倍に向上する。メインメモリの最大容量が2倍の32GB(標準は16GB)に増加した点も見逃せない。

 そのうえで、27インチ、21.5インチともに液晶パネルの輝度が43%向上。表示階調も8bit(256階調)から10bit(1024階調)になった。ハンズオン会場では実際に写真や映像編集を行うアプリケーションが動かされていたが、こちらも目で見て分かるレベルで画質が上がっている。

 もちろん、プラットフォームがSkylakeからKaby Lakeに切り替わって、プロセッサ速度が向上し、Thunderbolt 3対応になったことなども大きなトピックだが、27インチモデルは大きすぎると感じていた方には、コンパクトな21.5インチモデルが表示品質とグラフィックス性能を大幅向上させたことの方が大きなインパクトと言えよう。

 ただし、大きな問題ではないものの、27インチモデルでしか選べない設定は、まだ他にもある。1つは内蔵ストレージの容量で、27インチモデルにはFusion Driveならば3TB、SSDならば2TBを選択できるが、21.5インチモデルの最大ストレージ容量はいずれも1TBが上限となっている。またメモリの最大容量も、前述したように2倍の32GBとなったが、同じく2倍となった27インチモデルの64GBには届かない。

 メモリ容量はともかくとして、自分では交換できない内蔵ストレージは両サイズで同じ容量を用意してほしいものだが、それを差し置いても、注目モデルとして21.5インチモデルを選んだのは、サイズと価格のバランスがよいと感じるためだ。

●「MacBook Pro」もKaby Lake世代になったが……

 先のMacBookのアップデートと組み合わせて考えると、出先ではMacBook、オフィスや自宅ではiMacと、場面に合わせて使い分けることができれば、かなり快適な環境を構築できるだろう。

 なお、同じくKaby Lake搭載となったMacBook Proシリーズも当然ながらグラフィックスを含め、仕様がアップデートされているが、残念ながらメインメモリへのDDR4搭載が見送られ、最大容量が16GBまでという仕様に変化はない。

 Appleはメモリの32GBオプションが存在しない理由を「消費電力増大によるバッテリー駆動時間へのインパクトを避けるため」と説明していたが、Kaby LakeとともにDDR4も採用すれば……と思っていただけに、この点はやや残念だ。

 以上、自分に合った製品を選ぶ参考となればうれしい。

[本田雅一,ITmedia]

最終更新:6/10(土) 6:25
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