ここから本文です

13連敗でストップも 巨人弱体化の根底に“失われた10年”

6/10(土) 12:29配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 巨人が9日、札幌の地でようやく連敗を13で止めた。マイコラスが八回まで無四球の5安打1失点。九回はマシソンが締め、助っ人2人で2点を守り切った。高橋由伸監督(42)は「1つ勝つことの難しさはこうなる前から分かっていたけど、よりそれを感じた期間だった。なかなか結果が出なかったが、結果でしか示せない世界。時間がかかったけど、結果が出て良かった」と安堵の表情を見せた。

 ようやく長いトンネルを抜けたとはいえ、83年の歴史に泥を塗る「13連敗」のワースト記録を樹立した事実は重い。連敗は止まっても、ここまで弱体化したチームの根本的な問題点は横たわったままだ。

■08年以降の高卒主力は田口だけ

 球団の育成下手とドラフトの失敗である。

 高校、大学・社会人のドラフトが現行制度となった08年以降、巨人は昨秋までの9年間で計51人を指名している。しかし、その中で主力に成長しているのは長野、沢村、小林、菅野、田口の5人だけ。そのうち長野、沢村、菅野は「巨人しか行かない」と宣言したほぼ“逆指名”の完成形。高卒は田口しかいないのだ。

 この日の日本ハム戦のスタメン10人(外国人選手を除く)を比べると、08年のドラフト以降に入団したのは巨人3人、日本ハム6人。生え抜きは巨人の4人に対し、日本ハムは8人だ。高卒は巨人3人、日本ハム7人。日本ハムは最近のドラフトで獲得した自前の若い選手が次々と台頭。こちらも6連敗と苦しむが、「未来」があるだけマシである。

■スカウト名簿に「育成の巨人」

 高校野球に詳しいスポーツライターの美山和也氏がこう指摘する。

「高卒選手の方が伸びしろが大きく、将来的に球団を支える主力に成長する可能性が高い。これは球界の常識です。かつて清武代表が巨人に在籍していた頃、高校に巨人のスカウト名簿を配り歩いたことがある。その中には『育成の巨人』と書かれていたそうです。受け取ったある強豪校の監督は気味悪がっていましたが、今となっては懐かしい。あの頃はまだ育てる意志があった。最近の高校野球ではすっかり巨人離れが進んでいます」

 美山氏が続ける。

「高校から巨人に入団してもロクに育ててもらえず、一軍に抜擢されることが他球団と比べると極端に少ない。2年前に発覚した巨人の野球賭博事件も暗い影を落としています。そして、高校側が最も困惑しているのは、巨人が獲得した有望選手をあっさり手放すこと。これが高校側のアレルギーとなっているのです」

 毎年のように繰り返されるFA補強。大物を取れば、プロテクトできる28人以外の選手が相手球団に「人的補償」として指名される。これまで何人もの若手が流出した。

「最近では11年ドラフト3位の一岡が広島へ、13年4位の奥村は巨人でたった1年を終えたところでヤクルトへ移籍した。高校球界で『まだ1年しかやってないのに巨人はリストに入れなかった』とブーイングが起きた。同年5位の平良もしかり。最後の夏の沖縄大会は巨人のスカウトだけがチェックできたそうです。それなのに、こちらも昨オフに人的補償でDeNAへ。毎年山ほど獲得している育成契約の評判も良くありません。新設された三軍の試合のためだけのメンバーだと、高校やアマチュア側はそう見ています」(美山氏)

 ある強豪校の監督は実際、巨人のスカウトにこう頼んでいるという。

「どうせ使ってくれないんだから、うちの選手を指名しないでくれ」

 ドラフトはチームづくりの根幹。この10年間で、肝心なその部分が完全に崩壊した。今後を考えると、連敗が止まったことを喜んではいられない。

スポーツナビ 野球情報