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<フリーダイビング>20分間の世界女王 千葉の広瀬さん

6/10(土) 10:29配信

毎日新聞

 フィン(足ひれ)を着けて素潜りした深さを競うフリーダイビングの国際大会「バーチカル・ブルー2017」で、千葉県浦安市の広瀬花子さん(30)が103メートルを記録し、世界新をマークした。女子では2人目の100メートルダイバーとなったが、直後にイタリア人選手が1メートル更新。“世界女王”の座をわずか20分ほどで手放す形になったが、広瀬さんは銀メダルを胸に更なる挑戦を誓った。

 幼いころから父の実家がある伊豆諸島・御蔵島の海に親しみ、イルカツアーの手伝いをしながら野生のイルカと泳いだ。フリーダイビングには高校時代、伝説のフランス人ダイバーとして知られる故ジャック・マイヨール氏の弟子だった日本人女性が教えるスクールで出合った。同市のダイビングショップを拠点に活動し、世界選手権の団体戦(3人1組)で日本代表として3度の金メダルに輝いた。

 大会は4月30日~5月10日、中米バハマのロング島にある海底洞窟「ディーンズ・ブルーホール」(深さ200メートル超)で開かれ、女子の部には世界から13人が出場。潜る深さを事前申告し、そこに置かれたタグ(標識)を取って浮上すれば成功となる。最大6回の試技で争うが、世界記録(101メートル)は6年間破られていなかった。

 大会で、広瀬さんは自己記録(99メートル)を1メートル上回った。この種目の100メートル達成は女子2人目の快挙だったが、イタリアのアレッシア・ゼッキーニ選手(24)が世界新となる102メートルをクリアした。

 水深100メートルで体が受ける水圧は11気圧(地上は1気圧)。水温は低く光も届かない。命の危険も伴うこの競技で必要なのは、強い意志と心をコントロールする力だ。「いつも通りの私を信じて潜れば、きっとできる」。体調や気持ちを見つめ直し、最後の試技で103メートルに挑んだ。

 息を吸い込んで潜った。海中探知機で追う大会係員が声を上げる。「90メートル……100メートル……タッチダウン!」。3分32秒後、浮上した広瀬さんは取ってきたタグを示すと、審判が「成功」の白カードを掲げた。世界新を達成した喜びを爆発させたが、ゼッキーニ選手が約20分後、104メートルに記録を伸ばした。

 広瀬さんは「世界記録を持ち帰ることはできなかったが、力を出し切った。今後は100メートルをより楽に潜れるよう、技術とコンディションを高めていきたい」と前を向いた。【武田良敬】

 【ことば】フリーダイビング競技

 空気タンクなどを使わず、息を止めて潜水し、深さや距離を競う。ジャック・マイヨール氏がモデルの主人公が潜水記録に挑戦する映画「グラン・ブルー」で注目されるようになった。プールでの水平潜水「ダイナミック(DYN)」や、今大会のようにフィン(足ひれ)を着けて海洋でロープに沿って直下に潜る「コンスタント・ウエート・ウィズ・フィン(CWT)」などがある。

最終更新:6/10(土) 13:16
毎日新聞