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出演者・監督に気を使いすぎ 異様な洋画会見

6/10(土) 16:46配信

東スポWeb

 デスクをやっていると現場に取材に出る機会はどうしても減ってしまうのが実情だ。そうした中、先日、久々に映画の会見に取材に行く機会があった。だが現場では、以前なら考えられないような、あきれた事態に出くわしてしまった。

 それは映画「ボンジュール、アン」(7月7日公開)の記者会見だ。主演のダイアン・レイン(52)とエレノア・コッポラ監督(81)が出席したのだが、会見前に司会者から、過去に聞いたこともないお願いがあった。

 コッポラ監督の夫は「ゴッドファーザー」シリーズなどで知られるフランシス・フォード・コッポラ監督(78)なのだが、会見直前に司会者は「コッポラ監督には夫のフランシスさんへの質問が多くなる傾向がある。なので、できるだけコッポラ監督自身への質問をするようにお願いします」と言いだしたのだ。

 言うまでもないが、記者会見の場で質問を限定することは本来、やってはいけないこと。「報道の自由」が憲法で保障されている日本で「こういう質問はやめてほしい」とお願いをすること自体、ナンセンスなことだ。

 さらに会見が始まると、昔なら考えられないような光景が見られた。報道陣から「日本において最近、吹き替え版と字幕版の2種類が公開されることが多くなった。吹き替え版では、演じている俳優さんの声は聞こえなくなるが、それについてどう思うか?」という質問が飛ぶと、なぜか司会者が「この映画とは関係ない質問なので…」などと訳の分からないことを言いだしたのだ。

 確かに芸能関係の会見では昔から「イベントと関係ない質問はやめてください」というアナウンスが事前にされることも少なくない。ただ、それは本当に映画とは関係ない質問、今回でいえば、例えば「田中聖容疑者が釈放されましたが、それについてどう思いますか?」とか「俳優・橋爪功の息子が覚醒剤で逮捕されたが」などという質問に対しての話だろう。

 さすがに「田中や橋爪のニュースをレインとコッポラ監督に聞くのは筋違い」と言われたら、取材する側としても「その通り」と言わざるを得ない。だが「洋画の吹き替え版が日本で増えていることについてどう思うか」という質問にまで「この映画と関係ない話なので…」と言われたら、会見する意味など全くなくなってしまう。

 もちろんレインとコッポラ監督がそういう質問に答えることを嫌がったのなら答える必要はないが、なぜ勝手に司会者がそんなことを言うのか、理解に苦しむところだ。

 実際に「吹き替え版が増えているが」という質問に対してコッポラ監督は「私自身としては、字幕版は俳優の声が聞こえるので必要だと思う」、レインも「個人的には字幕派。オリジナルの演技であったり、役者さんの声を聞きたい」などと真摯に答えていた。

 映画関係者は「最近の映画界は、出演者や監督に気を使いすぎなんです。特に洋画のイベントでは『出演者はわざわざ、日本に来てもらったのだから』という理由で、腫れ物に触るような扱いをしている。映画なんて賛否両論が当たり前なのに、会見での質問まで制限するなんてナンセンス。あんなのでは、本当の意味での宣伝にならない」と指摘する。

 今回の件は司会者独自の判断だったのか、それとも配給元の指示だったのか、今のところ不明だが、今後もこのようなことが続くようでは「映画業界は末期の状況」と言われても仕方がないだろう。

最終更新:6/10(土) 16:46
東スポWeb