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骨太方針・成長戦略 人口減対処へAI活用 生産性カギ、先端技術者を育成

6/10(土) 7:55配信

産経新聞

 政府が骨太方針と成長戦略で「人材投資」を柱に掲げたのは、人口減少という構造的な課題に対処しなければ日本経済の力強い成長は実現できないとの危機感がある。人手不足が経済成長の阻害要因として懸念される中、AIなど先端技術を活用できる人材を育成し、「人口減の壁」を克服できるかが今後の日本経済を大きく左右しそうだ。 (山口暢彦)

 「『成長と分配の好循環』を拡大するため、人材への投資を通じた生産性の向上を図る」。臨時閣議に先立ち開かれた経済財政諮問会議と未来投資会議の合同会合で、安倍晋三首相はこう述べた。

 安倍政権は平成24年12月の発足以来、法人税の引き下げなどを通じ企業支援を優先する政策を重視してきた。

 円安の効果もあって、企業業績は拡大。1~3月期の法人企業統計では、保険・金融業を除く企業の経常利益が20兆1314億円と、1~3月期としては過去最高を記録した。雇用情勢も好転し、4月の有効求人倍率は1・48倍と、バブル経済時の最高水準(1・46倍)を上回っている。

 だが、内需の柱である個人消費は低迷が続き、総務省の家計調査によると、28年の勤労者世帯(2人以上)の消費支出は月平均で30万9591円と、24年の31万3874円を下回った。

 市場関係者からは「賃上げが不十分だ」との声が上がる。企業が経済の成長力に期待が持てず、資金を賃上げなどに使わずため込む傾向が強いことなどがあるとされる。

 内閣府の試算によると、現在の日本経済の実力を示す潜在成長率は0・8%程度。潜在成長率は「資本」「生産性」「労働力」の3要素をフル利用して生産した場合に達成される成長率だ。

 少子高齢化の進む日本では現役世代を示す労働力人口が27年時点で約6075万人と、20年で600万人減った。これは「労働力」を下押しする要因となる。

 設備投資を通じた「資本」の拡大にも限界がある中、潜在成長率を高めるには「生産性」の向上がカギとなる。人材投資にはITなどで高付加価値のモノやサービスを生み出せる人を増やし、中長期的に「生産性」を高める狙いがある。

 生産性が向上し、潜在成長率が高まって日本経済への成長期待が強まれば、一層の賃上げや消費拡大につながる可能性がある。

最終更新:6/10(土) 8:04
産経新聞