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将棋に“フジイノミクス” 子供教室が人気、映画も話題

6/10(土) 14:31配信

産経新聞

 将棋を始める子供が増えている。人気を牽引(けんいん)するのは、最年少プロ棋士として話題を集める中学3年の藤井聡太四段(14)だ。各地の将棋教室では、未来の藤井四段を目指し、少年少女が次々と門をたたくなど“藤井効果”で盛況に。若手棋士を描いた映画も相次いで公開され、ブームを後押ししており、関係者は将棋人口拡大の好機ととらえている。(鈴木俊輔、細田裕也)

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 「お願いします」

 7日午後、学校を終えて集まった子供たちが将棋盤を挟んで一礼を交わすと、真剣な表情で駒を動かした。大阪市住吉区の「帝塚山こども将棋塾」では、3、4カ月前から入塾者が増加。現在は藤井四段のデビュー前と比べ、2割ほど多い約70人が在籍する。

 平日でも8面ある将棋盤が満席になることがあり、今井光(ひかる)塾長(46)は「どちらかといえば『大人の趣味』だった将棋が、子供にも身近な存在になった」と藤井効果を実感。4月に入塾した小学6年、北村温史(はるふみ)君(11)は「将棋は練習すれば、大人にも勝てるところが楽しい。もっと強くなりたい」と意欲を見せた。

 藤井四段が5歳から小学4年まで通っていた「ふみもと子供将棋教室」(愛知県瀬戸市)でも、今年から将棋を習う子供が増えた。運営する文本力雄(ふみもとりきお)さん(62)によると、当時は15人程度だったが、プロデビューした昨年末には25人となり、現在は45人に増加した。文本さんは「当時は6畳一間で十分だったが、今では他の部屋を一緒に使うことも珍しくない。これも聡太のおかげ」と喜ぶ。

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 さらに昨秋以降、若手の棋士を主人公にした映画が相次いで公開されたことも人気を押し上げる。

 重病を患いながらも将棋に人生をかけ、29歳で早世した村山聖(さとし)九段の生涯を描いた映画「聖の青春」は昨年11月に公開。17歳の天才棋士の成長と葛藤を描く人気漫画「3月のライオン」の実写映画は3月に前編、4月に後編が封切られ、いずれも話題を呼んだ。藤井四段の活躍に加え、青年棋士の歩みをテーマとしたこれらの作品が、少年少女の将棋熱に火をつけたとみられている。

 日本将棋連盟によると、首都圏で運営する「子供将棋スクール」の会員は昨年5月は366人だった。今年同月は502人に急増。関西でも新規の入会者が例年の約5割増しとなっている。

 日本生産性本部が毎年発表する「レジャー白書」によると、将棋を年に1回以上した人の数(推計、15~79歳)は、平成23年は約830万人だったが、27年は約530万人に減少。趣味の多様化が要因とみられる。こうした現状に危機感を抱く日本将棋連盟は、小学校にプロ棋士を派遣するなどの事業を実施。藤井四段の躍進も踏まえ、連盟関係者は「将棋人口の拡大につなげたい」と意気込んでいる。

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 子供のころから将棋に慣れ親しむメリットについて、近畿大総合社会学部の清島秀樹教授(現代文化論)は、将棋を通し、規則に従ってものごとを理論的に考える「理性」が鍛えられると説明。その上で「理性は若ければ若いほど伸びる。20手、30手先を読む力は15歳前後がピークとも言われる。こうした能力は将来、数学や物理、プログラミングなどで発揮されることもある」としている。

最終更新:6/10(土) 15:30
産経新聞