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東京五輪で「中国の壁」を超えるには 若き日本のエースたち 大躍進の世界選手権

6/12(月) 9:00配信

産経新聞

 6月5日に閉幕した卓球の世界選手権個人戦(ドイツ・デュッセルドルフ)で、日本は金1、銀1、銅3の大躍進を遂げた。メダル5個以上の獲得は1975年コルカタ大会以来、42年ぶり。昨年のリオデジャネイロ五輪に続く好結果で、2020年東京五輪へ「卓球ニッポン」復活近しを強烈に印象づけた。ただ、世界最強国・中国が依然として立ちはだかる。

 火付け役となったのは混合ダブルス。11年からペアを組む石川佳純(24、全農)、吉村真晴(23、名古屋ダイハツ)組が前回銀の悔しさを晴らし、日本に48年ぶりの金メダルをもたらした。女子シングルスでは平野美宇(17、エリートアカデミー)がシングルスで48年ぶりの銅メダル。男女ダブルスも出場4組中3組がメダルを獲得した。男子シングルスで13歳の張本智和(同)は最年少で8強入りし、世界を驚かせた。

 20年東京五輪への期待を膨らませるが、表彰台の中央に立つのは簡単ではない。ドイツ選手との国際ペアだった混合ダブルスを除き、男女を通じて君臨する中国選手との直接対決では1度も勝てなかった。男子の倉嶋洋介監督は「少しずつ成長している結果が出たが、打倒中国に関しては1歩ずつやっていくしかない」。女子の馬場美香監督は「中国のほうが1人1人の技術や戦術の幅が広く、自分の得意なところだけでは戦えない。相手の戦い方に応用できる技の広さを持たないといけない」と話す。

 4月のアジア選手権で中国勢に3連勝した平野も今回は完敗。「差は以前よりも縮まってきたと思うが、自分が勝っているとは思わない。最後の1本、2本が結局とれなくて負ける試合が多い」と冷静に現状を見つめた。

 だが、「また、中国選手と試合をして、経験を積めば勝てるようになるんじゃないか」と、平野は手応えを実感した世界選手権だった。

 平野だけではない。期待せずにいられないのは、中国と比べても若い選手らの伸びしろだ。女子ダブルス銅の16歳ペア、伊藤美誠(スターツ)、早田ひな(福岡・希望が丘高)は平野と同じ高校2年生。伊藤が「五輪で優勝するより、出場するほうが難しいんじゃないかと思う」と話すように、同世代のライバルの存在は成長の速度を早める。張本も「世界ランク1桁のトップ選手にも自分のプレーが通用したので、成長がたくさんあった。1、2年もしたら、絶対に勝てないことはない」と頼もしい。

 では、具体的に中国に勝つには何が必要なのか。五輪2大会で女子日本代表監督を務めた近藤欽司氏は「サーブの種類を増やすことと、中国選手の回転量に負けないだけのフィジカル面の強化」をポイントに挙げた。

 中国に追いつくところまできた日本卓球界。実際、近年の成績には目を見張るものがある。国際大会で表彰台に立つことは珍しくなくなり、男女で世界ランキングのトップ10に5人が名を連ねる。何がこの結果を導いたのだろうか。近藤氏は「日本卓球協会が取り組んできた若年層の強化が実を結んできた」と語る。

 協会は1980年代後半、14歳以下の全国大会を4つの年齢カテゴリーに細分化。2001年には小学生の代表チームを結成した。指導者に対してもブロックごとに研修会を行い、全国の隅々まで最新の情報が行き渡るようになった。福原愛(28、ANA)の登場もあり「卓球を始める年齢が一気に下がった」(近藤氏)。若くして協会に見いだされ、国際大会への積極派遣で経験を積んだ世代が今の代表を支えている。

■国・地域別のメダル獲得数

       金 銀 銅

中 国    4 3 3

日 本    1 1 3

台 湾    0 1 0

韓 国    0 0 2

香 港    0 0 1

シンガポール 0 0 1

ドイツ    0 0 1

※国際ペアでの獲得メダルを含む

最終更新:6/12(月) 9:00
産経新聞