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「およりまっせ」島民に愛された呉服店、120年の歴史に幕 長崎県壱岐市

6/10(土) 8:00配信

西日本新聞

 長崎県壱岐市郷ノ浦町の商店街にある1897(明治30)年創業の長田呉服店が5月31日に閉店した。3代目店主の長田玄一郎さん(74)と妻澄子さん(69)は半世紀にわたって、夫婦二人三脚で切り盛りしてきた。高齢となり、後継者もいないことから閉店を決断した。長く島民に親しまれた老舗呉服店が120年の歴史に幕を閉じた。

 屋号は「およりまっせ」。玄一郎さんの祖父に当たる初代店主が、店の前を通る人に「寄っていってください」という意味の壱岐の方言で声を掛けていたところ、客が店をそう呼び出したことに由来する。

 玄一郎さんは東京の大学を卒業後、大阪府で百貨店勤務を経て1967年に店を継ぐため島に戻った。店では着物や婦人服、バッグ、和装小物などを販売。同じ百貨店で呉服や貴金属売り場担当だった澄子さんが仕入れと販売を、玄一郎さんが着物や洋服などの展示販売会の企画や経理を担った。

 和服離れが進む中、着物を着る機会を増やしてもらおうと、島内のホテルの大広間で新作着物のファッションショーを開き、着物を買ったお客さんもモデルとして参加した。約10年前からは、着なくなった古い着物を洋服に仕立て直す展示販売会を企画し、新しい顧客を掘り起こした。

 5月18~31日の閉店セール期間中には「記念に買っていく」と3回以上来店し、名残を惜しんだ常連客もいたという。

 澄子さんは今年古希を迎える。夫婦2人が70歳を超えたら一線を退くと、以前から決めていたという。玄一郎さんは「お得意さんには『自分たちの買う店がなくなる。どうしたらいいの』って言われて心苦しいが、体力的にも今が潮時。ここまで支えてくれたお客さんには感謝の気持ちでいっぱい」と感慨深げに話した。

西日本新聞社

最終更新:6/10(土) 8:00
西日本新聞