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<狭山虐待死>子の顔赤くただれ…熱湯かけた人物分からず裁判終わる

6/10(土) 22:02配信

埼玉新聞

 埼玉県狭山市で昨年1月、藤本羽月ちゃん=当時(3)=が冷水をかけられて放置されるなどして遺体で見つかった虐待事件で、保護責任者遺棄致死と傷害などの罪に問われた大河原優樹被告(26)に対する懲役12年6月の判決が確定した。同時に羽月ちゃんの顔に熱湯をかけてやけどを負わせた傷害罪の無罪も確定し、やけどを負わせた人物が誰か分からないまま裁判は終わる。

 大河原被告と母親の藤本彩香被告(24)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役13年求刑=は2015年9月ごろから、羽月ちゃんに対して虐待を繰り返していたとして起訴された。一連の虐待の中で、昨年1月2日夜、羽月ちゃんは熱湯のシャワーをかけられてやけどを負ったとされる。

 両被告はそれぞれ相手の犯行だと主張し、真っ向から対立。5月25日に言い渡されたさいたま地裁の裁判員裁判の判決は、大河原被告の傷害罪について「犯罪の証明がない」と無罪を言い渡した。さいたま地検は控訴せず、理由についてコメントしていない。藤本被告はそもそも傷害罪で起訴されておらず、判決は15日に言い渡される。

 公判の中で、大河原被告は傷害罪について一貫して無罪を主張。「彩香(藤本被告)が怒りだして羽月を風呂場に連れていった。シャワーの音が聞こえて羽月の叫び声が聞こえた」と説明。羽月ちゃんの顔が赤くなっており、「彩香に聞いたら『お湯をかけた』と言われた」と供述した。

 藤本被告は「彼(大河原被告)がやけどを負わせた」と供述。大河原被告が羽月ちゃんの片腕をつかんで浴室に連れていき、「『ギャー』という悲鳴が聞こえて見に行ったら、彼が羽月の顔にシャワーをかけていた」と説明した。

 検察側は大河原被告の公判で、逮捕時の取り調べでお湯をかけた状況を説明した点に触れ、「自分がやっていなければ話せない内容」と主張。しかし、判決は大河原被告の犯行と主張した藤本被告の供述を「信用できない」とし、結果的に立証は不十分だった。

 双方の公判では、スクリーンに羽月ちゃんが虐待を受けた写真が何度も映し出された。顔全面が真っ赤にただれた写真もあり、羽月ちゃんが何らかの形で顔にやけどを負わされたのは明白だった。

 大河原被告の判決は、求刑の懲役13年に近い懲役12年6月で、裁判所は悪質性を重く捉えたとみられる。両被告の50代知人は判決後、「2人で虐待を続けてきた結果に変わりはない」と話した。

最終更新:6/11(日) 13:17
埼玉新聞