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どこからともなく現れたオスタペンコ、彼女は「速く打ち、速く歩き、速く話す」 [全仏テニス]

6/10(土) 14:00配信

THE TENNIS DAILY

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の女子シングルス準決勝。

新星オスタペンコ、クレーコートでの大躍進の裏にスペイン人現役選手のコーチング [全仏オープン]

 エレナ・オスタペンコ(ラトビア)は20歳になったその日、第30シードのティメア・バシンスキー(スイス)を7-6(4) 3-6 6-3で破る過程で、全速力でポイントを終わらせようとし、パワフルで大胆なグラウンドストロークを使ってそれを成し遂げた。彼女は1983年以来のノーシードの全仏決勝進出者となった。

「彼女の人生はこんななの。すべてを非常に速くやるのよ」と、オスタペンコのコーチで、プロでもあるアナベル・メディナ ガリゲス(スペイン)は言った。

「速く打ち、速く歩き、速く話す」

 オスタペンコは、グランドスラム決勝にたどりついた最初のラトビア人となった。今大会は彼女にとって8度目のグランドスラム大会であり、今週まで彼女は一度もグランドスラム大会で3回戦を超えたことがなかった。一年前の全仏での彼女は1回戦で負けていた上、ツアーレベルの大会では、まだ一度も優勝をしたことがない。

「私がここにやって来たとき」と、オスタペンコは言葉と言葉の間にまったく間をあけずに言った。「もちろん自分が決勝に行くなんて期待していなかったわ」。

 土曜日の決勝で世界ランク47位のオスタペンコは、第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)と対戦する。2014年全仏準優勝者のハレプは、気温が27度ほどの晴れたその日、準決勝2試合目で、2016年全米準優勝者で第2シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を6-4 3-6 6-3で倒した。

 この全仏での驚くべき活躍のおかげで、オスタペンコは来週トップ20デビューを遂げることが確実となっている。一方、25歳のハレプにとっては、決勝にかかっているものがより大きい。グランドスラム・タイトルに加え、世界一の座----決勝で勝つことにより、ハレプはキャリアで初めて世界ランキング1位の座をも手に入れることになるのだ。

 3年前の全仏決勝でマリア・シャラポワ(ロシア)に敗れ、準優勝に終わっているハレプにとって、これは2度目のグランドスラム大会決勝だ。

「今回は、よりよいプレーができるよう願うわ」とハレプは言った。「そしてタイトルを勝ち獲れるように」。

 土曜日のフィリップ・シャトリエ・コートでは、プレースタイルという意味でかなり対照的なものが見られることだろう。

 身長168cmのハレプは、ボールを追って駆け回り、長いラリーを恐れない、守備に精力的なプレーヤーで、相手のラケットから繰り出されるショットのほぼすべてを拾い、また自分がスイングするときには注意深く返球する。

 準決勝のハレプは14本しかアンフォーストエラーをおかさなかったが、プリスコバは55本におよんだ。

 一方、177cmのオスタペンコは、これ以上無理というほどアグレッシブで、オンラインを狙って強打を繰り返し、記者の質問への彼女の返答と同じくらい、てきぱきとポイントを決めるのが好きな選手だ。

 バシンスキーによるオスタペンコの戦力分析は次の通りだ。ふたりは昨年ダブルスをいっしょに組んだこともある友達同士である。

「彼女は若く、ある意味で向こう見ずなの。彼女は何も恐れない、ビッグヒッターよ」。そしてバシンスキーは、こうも言った。「彼女はベイビーだけど、美しいベイビーなの」。

 彼女はまるでボールに対して怒っているように、ボールをひっぱたくベイビーでもある。

 やはりこの日が誕生日で28歳になったバシンスキーは、この対戦相手を狼狽させるためにあらゆる戦略を試みた。彼女はオスタペンコがミスをおかすまでラリーで粘ろうと努めた。スピードやアングル、狙う場所に変化をつけようとした。オスタペンコを前に引き出すため、わざと短いショットを打ちもした。反対に、深く打ち、相手を押し下げることも試みた。

 しかしそのどれもが、勝つに十分なだけ機能しなかったのである。もっとも試合は、スコアが見せるよりずっと競っていた。獲得したポイントは、オスタペンコの「106」に対し、バシンスキーは「105」だったのである。

「ついてないわ。ええ、厳しい試合だった」

 このわずかな違いについて知らされたとき、彼女は眼を涙で潤ませながらこう言った。

「私は今泣くべき? あとでかしら。実際、今泣けてきたわ」。バシンスキーは2015年の全仏でも準決勝で敗れていた。

 第1セットで右腿を痛めてしまったこともバシンスキーを苦しめた。トレーナーが彼女の脚にテーピングを施し、バシンスキーは痛み止めを飲んでプレーを続けた。それでもその少しあと、彼女はそのセットの奪取にあと2ポイントと迫っていたのだ。

「何度か、ある瞬間には少し緊張感を覚えたわ」とオスタペンコは言った。

 しかし、それは傍目にはわからなかった。タイブレークで波に乗ったオスタペンコは最後の5ポイントのうち4ポイント取り、バックボレーのウィナーでとどめを刺した。

 バシンスキーは立ち直って第2セットをつかんだが、第3セットでは先に仕掛け、最後の3ゲームを取ったオスタペンコのほうがプレーの舵を握った。オスタペンコは「50」対「22」と、バシンスキーよりずっと多くのウィナーを決め、「45」対「19」と、ずっと多くのアンフォーストエラーをおかした。

 そしてリスクは報われた。

 加えて試合のペースも彼女の好みに合っていた。211ポイントのうち165ポイントは、5ストロークより短い回数のラリーで終わっていたのである。

「ただ落ち着いて自分のテニスをしようと努めていたの」とオスタペンコは言った。「そしてただ、すべての瞬間を楽しもうとした」。(C)AP (テニスマガジン/テニスデイリー)

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最終更新:6/10(土) 14:00
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