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【コラム】「サッカーの楽しさをすごく感じる」…3戦不発の原口が乾から受けた刺激

6/10(土) 7:00配信

SOCCER KING

 2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選・イラク戦を13日に控え、9日昼に決戦の地であるイラン・テヘランに入った日本代表。同日夕方17時半からテヘラン郊外のコッズ・スタジアムで現地初練習を行った。

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 梅雨入りしたばかりの東京とは打って変わり、テヘランは最高気温37度という猛暑。練習時間の時点でも日陰で33度・湿度は10パーセントということで、環境の急激な変化に戸惑う選手も少なくなかった。「いやー、こんなに暑いんやと(苦笑)。水分を当日からじゃなく、前日から摂って、対策していかないといけない」と7日のシリア戦(東京)から2戦連続先発が有力視される昌子源(鹿島)も警戒心を露わにしていた。

 シリア戦翌日の東京でのトレーニングを欠席した吉田麻也(サウサンプトン)、酒井宏樹(マルセイユ)の2人はこの日から復帰したものの、右下腿に痛みを抱える山口蛍(セレッソ大阪)は2日続けてトレーニングを欠席した。

 加えて、ランニングの途中まで参加していた長友佑都(インテル)も右内転筋に張りを訴えて途中で走りを切り上げる事態となった。本人は「大丈夫です」と笑顔で話して帰路についたものの、左肩脱臼で戦線離脱した香川真司(ドルトムント)に続く大黒柱の故障者となれば、チームにとっては大打撃に他ならない。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も恒例のランニングをしながらも、ややうつむきがちで、不安げな様子が色濃く伺えた。

 こうなると、イラク戦は総力戦で戦わなければならなくなる。山口の代役には井手口陽介(ガンバ大阪)、長友の代役には酒井高徳(ハンブルガーSV)が入る可能性が高いと見られるが、チームに活力をもたらす選手が次々と現れなければ、捨て身の相手の勢いに押されかねない。シリア戦を不完全燃焼で終えることになった左FW原口元気(ヘルタ・ベルリン)はその筆頭ではないだろうか。

「シリア戦はチャンスがあったし、チャンスに行くまでの過程もよかったんで、僕が前半のうちに決めていれば、なんてことない試合だった。ホントに決めるだけでしたね」と本人も悔しさを改めて吐露しただけに、次戦は燃えるものがあるはずだ。

 長友が欠場となれば、左サイドは酒井高徳とのタテ関係になる。昨年10月のホーム・イラク戦(埼玉)でも2人は先発出場し、前への推進力を前面に押し出した。「高徳はどっちかというと器用というか、ビルドアップの部分でかなり工夫してやってくれる。それが彼のよさかなと思います」と原口は話したが、その丁寧な組み立てがあるからこそ、彼のダイナミックさがより光るのだ。

 最終予選前半戦の4試合連続ゴールのうち、タイ、イラクの2戦を酒井高徳とのタテ関係で戦っているのも前向きな材料と言っていい。そのコンビが再結成されれば、チームに新たな力強さがもたらせる可能性は高そうだ。

 シリア戦で後半途中から出場した乾貴士(エイバル)の存在も、原口にとっては非常にいい刺激になっている。細かい技術を駆使したドリブル突破と卓越した創造性を併せ持つ乾は明らかに異なるタイプの選手。何事も全力を注ぐ原口にしてみれば、サッカーの楽しさを追求するという哲学を重視する乾には考えさせられることも多いという。

「彼を見ていて、サッカーの楽しさというのはすごく感じますし、それがああいう余裕のあるプレーにつながっている。サッカー観の違いはあるけど、見習わなきゃいけない部分もあると思います」と彼は言う。

 最終予選という国を背負った大一番は重圧のあまり、どうしても肩に力が入りがちだ。これまでそのプレッシャーをしっかりと受け止め結果を出してきたのが原口だ。「(浦和レッズで)一緒にやっていた時より責任感を持ってやっているなと思うし、これだけ長い期間代表でプレーしているのも、サッカー選手として大人になったということ」とかつてのチームメート・宇賀神友弥(浦和)も目覚ましい成長ぶりに太鼓判を押していた。ただ、2017年に入ってからの3試合は得点が止まっている。本人にとっても苦しい時期だからこそ、乾のようなプレーを楽しむ余裕を持った方が状況は好転するはずだ。

 来シーズンは新たなキャリアに踏み出す可能性が高い原口には、2016-17シーズンの真のラストマッチとなるイラク戦で有終の美を飾って、さらなる飛躍の大きな一歩を踏み出してもらいたい。そして苦境に陥る日本代表を力強く鼓舞してほしいものだ。

文=元川悦子

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最終更新:6/10(土) 7:02
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