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常陸太田・高倉地区、自治会が高齢者送迎 有料専用車、交通空白解消へ

6/11(日) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

地域に十分な公共交通機関がない常陸太田市高倉地区の住民有志が13日、高齢者などの交通弱者を助けようと、自家用車による有料の外出支援サービスを始める。国の「公共交通空白地有償運送」の制度を生かし、法人格を持たない自治会が運営主体となるのは県内で初めて。公共交通機関に代わり、コミュニティーバスや乗り合いタクシーの運営が各地で広がりを見せる中、地域住民による交通空白地の解消に向けた取り組みとして期待される。


外出支援サービスを始めるのは、同市高倉地区(同市上高倉町と下高倉町)の町会や老人会などでつくる「高倉地域づくりの会」(石井憲一会長)。

同地区は同市水府地区の一部で、高齢化率は45・3%(6月1日現在)に達している。地区内に鉄道の駅やタクシー会社はない。バス路線はあるものの、集落によっては最寄りのバス停まで約5キロ離れている。

市は市内のタクシー業者と協定を結び、水府地区を対象に、市中心部までの乗り合いタクシーを週に1日運行。住民が高齢者などに声を掛け、乗り合わせて外出するケースも目立つ。

外出支援サービスは、毎週火曜日の午前9時~午後5時、水府地区内をエリアに運行する。高倉地区の住民を対象に登録者を募り、原則として前日までに予約を受け付ける。1回300円。5人乗りワゴン車を国の地方創生加速化交付金を活用して購入した。運転手は、同地区の農業経営者や会社員など9人がボランティアで務める。

運転技術や接客の講習を開くなど準備を進めてきた。同市下高倉町、農業、井上佳之さん(69)は「(客は)もともと顔も名前も知っている。安心安全な運転を心掛けたい」と話す。

これまで、公共交通空白地有償運送の運営主体は、NPO法人など法人格を持つ団体に限られてきた。同市では、NPO法人と市商工会が里美地区で運行し、日立や牛久、五霞の各市町でもみられる。2015年に制度が改正され、法人格を持たない自治会や青年団などの運営が認められた。

県内で同制度を活用し、外出支援サービスを行うのは6団体。県は公共交通活性化指針(16年3月)で、20年度までに10団体に増やす目標を掲げる。高倉地区の取り組みを一つのモデルケースとして、「交通空白地の解消に向けて各市町村に情報を提供し、広くサポートしたい」(交通対策課)と支援拡大を目指す。

高齢化の進展や路線バスの減少を背景に、県内でも各市町村などが公共交通対策に頭を悩ませる。これまでに、21市町が地域を巡回するコミュニティーバス、24市町村が利用者の要望に応じたデマンド型などの乗り合いタクシーを導入している。 (長洲光司)

茨城新聞社