ここから本文です

避難所支援システムを開発 ポリテクカレッジ浜松

6/11(日) 11:10配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 浜松市南区のポリテクカレッジ浜松(浜松職業能力開発短期大学校)などが災害時に避難者名簿を作成できる避難所支援システムの実用化に向け、研究に取り組んでいる。電子情報技術科の西出和広准教授の研究室が中心となって2013年度から開発を進め、年々システムの精度を向上させている。本年度は地域の避難訓練での活用を目標に改良を進めている。

 同校は遠州灘沿岸から約2キロ。津波避難ビルにも指定されているため、日頃学習しているIT技術を防災活動に生かそうと開発に乗り出した。

 東日本大震災や熊本地震では避難所に人が短時間で押し寄せ、人数把握に時間がかかり、要支援者の対応も十分にできなかった。解消には避難者名簿が有効だが、電力や通信機能が喪失した状況では手作業による作成を強いられるのが実情。手書きでは集計が困難で名簿様式も統一できないため、得られた情報を十分活用できない可能性もある。

 同システムは避難者に配布したバーコード入りカードをスキャンし、人数や避難所の入退室記録をサーバーで管理する。太陽光発電装置との連動や無線通信Wi―Fi(ワイファイ)接続が可能で、個人情報やアレルギーの有無、不足物資などをデータ通信できる。地図上に避難者数を落とし込むことも可能。

 初年度はプロトタイプを開発し、翌年度以降は処理能力の向上、無線データ通信、校内の防災訓練での運用などの課題をクリアしてきた。2年生が1年ごとに開発に携わるため、メンバーは毎年入れ替わるが、4年間継続的に改良を進めている。西出准教授は「自主防災組織に訓練で使ってもらい、問題点を洗い出して実用化につなげたい」と述べる。

 17年度は生徒4人が研究に加わった。まずは避難所について理解を深めるため、県西部危機管理局の協力で5月下旬に避難所運営ゲーム(HUG)に取り組んだ。HUGでは南海トラフ巨大地震が発生し、避難所の電気やガス、水道が使用できなくなった状態を想定。外国人や持病がある人、ペット連れなどさまざまな事情を抱えた避難者の誘導などを話し合った。

 石渡優哉さん(19)は「実際の避難所を見たことはないが、ゲームを通じて避難所で起きる課題が見えてきた。今後の開発に生かしたい」と話す。

 西出准教授は「研究を通じて学生が地域にいかに貢献できるか考える機会にしたい」と言葉に力を込める。



 ■電源喪失下に効果発揮

 ポリテクカレッジ浜松が地元企業との共同研究で開発した避難所支援システムは、電源喪失下でも単独で避難者名簿を作成し情報データを確実に伝送できるよう運用実験を重ねている。

 太陽光発電装置で充電し、無線LANを使うため、電源喪失下や通信環境が確保できない状況でも効果を発揮する。避難者の人数や住所氏名だけでなく、持病、アレルギーの有無などの個人情報も管理できる。

 避難者には世帯主にバーコード入りのカードを配布。バーコードリーダーで読み取り、世帯人数を入力することで避難者数や入退室記録をサーバーで管理できる。その後、全避難者にカードを配布する。避難者はスマートフォンなどでサーバーとWi―Fi接続し、専用サイトから避難者名簿様式に沿った個人情報を入力する。運営側は情報に基づき、避難者ニーズに合った物資や医薬品を配給できる。

 無線実験では約2・6キロの距離間で避難者数データを通信することに成功した。避難所ごとにシステムを配備すれば、避難所ごとの避難者数を地図上にも表示できる。災害対策本部に避難所ごとの情報を集約することで、避難状況の全容が把握できるという。

 今後の課題として、サーバーの耐久性向上や生産コストの削減、使用方法のマニュアル化、平時でも利用できるシステムの追加などが挙げられる。学校での活用実例として図書室での本の管理や来校者の受付などを想定する。中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の重大事故に備え、広域避難者管理や放射能汚染を調べるスクリーニング検査の支援システムとしての運用も検討している。

静岡新聞社