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NATOへ増額迫るトランプ政権 防衛費負担へ日本恐々

6/11(日) 7:55配信

産経新聞

 ■駐留費問題沈静化…「このままでは納得しない」

 トランプ米政権の同盟各国に対する防衛費負担をめぐる温度差が鮮明になっている。北大西洋条約機構(NATO)加盟国に国防費増額を強く迫るトランプ大統領だが、日本などアジアの同盟国には表立った批判を避けている。ただ、トランプ氏の矛先が今後、日本に向く可能性は否定できず、日本政府内には防衛費のさらなる増額は避けられないとの声が漏れる。

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 「他のNATO加盟国も、財政上の義務を果たそうとするルーマニアに続き、応分の負担をしてほしい。NATOを強くするためには資金が必要だ」

 トランプ氏は9日、ルーマニアのヨハニス大統領とホワイトハウスで開いた共同記者会見で、NATO加盟国に防衛費の負担増を改めて求めた。

 NATO加盟国は2014年9月の首脳会合で、加盟各国の国防費を10年間で国内総生産(GDP)比2%にすることで合意したが、達成しているのは英米など5カ国のみ。トランプ氏は今年5月のNATO首脳会合で「(残る)23カ国は彼らの防衛のため支払うべき額を払っていない」と指摘したほか、集団防衛義務を定めた北大西洋条約第5条の防衛義務にも言及しなかった。

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 一方、GDP比1%未満の日本への対応は欧州と対照的だ。昨年の大統領選期間中に主張した在日米軍駐留経費の全額負担は政権発足後に封印。今年2月の日米首脳会談後の記者会見では、在日米軍の受け入れに感謝の意まで表明した。

 背景には、ミサイル発射を続ける北朝鮮や、海洋進出を進める中国に対し、防衛費をめぐり日米同盟がギクシャクしている印象を与えるのは得策ではないとの考えがあるようだ。防衛省幹部も日米同盟の戦略的重要性を指摘し、「米国にとってアジアにはライバルの中国、そして悪者の北朝鮮がいる」ことから、良好な同盟関係をアピールする必要があると分析する。

 対照的に、トランプ氏がNATOに強気な姿勢で臨むのは「中国ほどロシアが明確なライバルではないからだ」(外務省幹部)との見方がある。別の外務省幹部は「NATOはGDP比2%の合意がある。約束を守るよう加盟国に『未払い分を払え』という位置づけだ。日米同盟にはそういう約束はないので『約束違反』ということにはならない」と語る。

 ただ、2月の日米首脳会談の共同声明では、日本として「同盟におけるより大きな役割および責任を果たす」と明記した。日本は第2次安倍内閣発足以降、防衛費を年平均0・8%増額させているが、「そのままの伸び率ではトランプ政権は納得しないだろう」(政府関係者)との見方が少なくない。

 日米両政府は7月中旬には外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をワシントンで開催する方向で調整している。中国や北朝鮮への対応とともに、日本の「役割と責任」が主要議題となる見通しだ。(杉本康士、千葉倫之、ワシントン 加納宏幸)

最終更新:6/11(日) 8:11
産経新聞