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英テロ1週間 実行犯集うジムは過激派の温床か 移民街…会員はイスラム系

6/11(日) 7:55配信

産経新聞

 【ロンドン=黒川信雄】ロンドン中心部で3日に発生したテロから10日で1週間となった。3人の実行犯はロンドン東部の“イスラム系”ジムで接点を持っていた事実が判明。スポーツ施設が、過激派による若者勧誘の拠点となっている実態が浮かび上がった。

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 3人はロンドン東部バーキングやその周辺に住んでおり、駅から徒歩約15分のジムがたまり場だった。ジムの名は「ウンマ・フィットネス」。ウンマは「イスラム教徒の共同体」の意味で、会員はイスラム教徒がほとんど。観光客でにぎわうロンドン中心部とは異なり、パキスタン系食材店やイスラム教施設が立ち並ぶ移民街にある。

 ジム運営者は、過激派のイスラム教説教師、チョードリー師と密接な関係にあったとされる。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)を支援した疑いで昨年、有罪判決を受けた人物だ。実行犯のクラム・バット容疑者(27)はジムの指導役を務めながら、若者に過激思想を吹き込み、他の2人の容疑者とも事件数日前に会っていた。ジムを舞台に3人が接点を持ち、テロ計画を練った可能性は十分にある。

 ジムの古びたドアには「今日で閉鎖する」と書かれた張り紙があった。中をのぞくと、捜査関係者と思われる男性が建物から出てきたが、記者の質問には「何も答えられない」と繰り返した。

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 イスラム教徒の若者が集うジムが、過激派の温床になっているという指摘は、すでにあった。2005年に52人が死亡したロンドン同時テロの実行犯もジムの熱心な会員で、翌06年、下院に提出された報告書は、「ジムが過激派の拠点となり、『(国際テロ組織)アルカーイダ・ジム』などと呼ばれている場所もある」と明記した。この時の実行犯4人もパキスタン系などのイスラム教徒だった。

 今回の事件は、直前に計画されたとみられている。報道によるとバット容疑者は事件当日、車で引っ越しを行っていた知人を見かけ「この車はどこで借りたのか、いくらだったのか」などと興奮した面持ちで聞いた。犯行に使ったワゴン車は、その日に借りたレンタカーだった。

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 犯行直前、実行犯らは家族と接触しようとしたようだ。報道によると、ラシド・レドゥアン容疑者(30)は犯行の約3時間前、ロンドン東部の元妻の家を訪れ、幼い娘に会った。

 ユセフ・ザグバ容疑者(22)も、犯行2日前にイタリアに住む母親に電話をかけていた。母親は伊メディアに「今思えば、さよならを伝えるために電話をしたのだと思う」と語った。

最終更新:6/11(日) 8:06
産経新聞