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恋愛要素をプラス、誤解を招く表現…「アポロ計画」だけじゃない、映画邦題の問題点 町山智浩さんに聞く

6/11(日) 16:26配信

BuzzFeed Japan

9月公開予定の映画「ドリーム 私たちのアポロ計画」(原題:Hidden Figures)の邦題が「ドリーム」に変更される。配給元の20世紀フォックスが6月9日に発表した。【BuzzFeed Japan / 山崎春奈】

【画像】これってダサい? 世界よ、これが日本の映画ポスターだ

同作は、1960年代初頭、米国の宇宙開発を支えた3人の黒人女性数学者の知られざる偉業を描く物語。

当初の邦題では「アポロ計画」としていたが、映画の中で描かれているのはその前段階となる「マーキュリー計画」であることから「内容にそぐわない」「事実と異なるタイトルでは」と批判の声が上がっていた。

邦題決定直後に一度映画ファンのあいだで話題になっていたが、ポスターが発表された6月6日、SNSで再燃。BuzzFeed Newsも8日に配給元に取材し、多くの反響があった。

「映画会社側の時代感覚のなさ、観客は知らないだろうという勘違い、そして、知らない言葉はタイトルに使ってはいけないという思い込み――この3点が組み合わさって起きた事態」。こう話すのは、映画評論家の町山智浩さん。

BuzzFeed Newsは、同作を高く評価し、日本での公開に向けて働きかけてきた町山さんに、今回の変更についての見解を聞いた。

邦題は「劇場を説得するためのもの」

町山さんは「そもそも邦題は、観客に訴えるよりも先に劇場を説得するためのもの」と意味合いを説明する。

「ドリーム」の場合、作品としての評価は高いが、日本人には身近なテーマとは言い難く、当初は日本公開は未定だった。

公開が危ぶまれた理由は主に2つ。日本で名が知られているスターが出ていないこと、米国以外では大きなヒットになっていないこと、だ。

少しでも多くの人に劇場に足を運んでもらうためにも、親しみやすく、興味を引く邦題が必要になる。

「配給会社としては、採算をとるためにまず大切なのはスクリーン数の確保。劇場にこれならお客さんを見込めると納得してもらうためには、わかりやすいテーマやキーワード、『全米No.1ヒット』などの実績があると売り込みやすい」

わかりやすさを重視する姿勢には理解を示しつつも「マーキュリー計画とアポロ計画は、まったく別のプロジェクトであり、観客に誤解を生みかねない」と指摘する。

「日本で公開する決断は素直にうれしいし応援したいが、確かに適切な邦題かというと……。とはいえ、配給会社の事情も理解できるので難しいところ」

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最終更新:6/11(日) 19:00
BuzzFeed Japan