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「娘が私の子を産んでくれた」─代理出産、ある家族の形

6/11(日) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Andrea Childs】
 英イングランド(England)南西部サマセット(Somerset)在住のジャッキー・エドワーズさん(47)と娘のキャサリンさん(30)はソファに並んで座り、ジャッキーさんの膝の上では1歳の男の子、カスピアン(Caspian)ちゃんがじゃれている。

 大きな青い瞳でにっこり笑うカスピアンちゃんが、ジャッキーさんとキャサリンさんの両方に似ているのは見まがいようもない。一見すると母と娘、そして孫という典型的な家族の姿のようだが、現実ははるかに複雑だ。

 看護師で執筆業にも携わるジャッキーさんは6児の母で、第1子がキャサリンさんだ。そしてキャサリンさんは、カスピアンちゃんの代理母でもある。キャサリンさんは卵子を提供しており、カスピアンちゃんにとって生物学上の母親にも当たるが、法律上はカスピアンちゃんはジャッキーさんの末っ子だ。

 キャサリンさんは「私はカスピアンの生物学上の母親ですし、かわいくて仕方がないですが、めいやおいと一緒にいるような感覚でしかありません」と話す。「妊娠中だって、カスピアンを自分の子と思ったことはありません。あの子はいつだって母の子どもですから」

 カスピアンちゃんは昨年5月に生まれた。しかし一家のこの物語の始まりは、その2年前の2014年、夫に先立たれたジャッキーさんが、現在の夫で製薬会社を経営するポールさん(48)に出会った時にさかのぼる。

 2人は出会って1年後の2015年6月に結婚。ジャッキーさんは死別した夫との間に12~30歳の5児に恵まれた。34歳で迎えた5回目の出産時の合併症で、子宮の一部切除を余儀なくされた。一方ポールさんは、前の妻と間に2児をもうけていたが、ジャッキーさんとの子どもが欲しいと思っていた。

 ジャッキーさんはこう振り返る。「挑戦しなかったら、ポールは心のどこかでずっと悲しむだろうと分かっていました。そこで挙式後、子どもを授かるための選択肢について調べ始めたんです」

 しかし訪れた体外受精(IVF)クリニックでジャッキーさんは、既に更年期に入っており、排卵していないと告げられた。

 ジャッキーさんはキャサリンさんに、新たに子どもを持つことは諦めると伝えた。キャサリンさんが、自分がジャッキーさんの子どもを産むと申し出たのはその時だったという。「涙があふれてきました」とジャッキーさん。「私とポールのためにキャサリンがそんな提案をしてくれるなんて、心臓が本当に止まりそうでした」

 キャサリンさんはエンジニアの夫サムさんとの間に7歳と4歳の2人の子がいる。ジャッキーさんとキャサリンさんはとりわけ仲の良い母娘で、ジャッキーさんの希望が薄れていくのを察知したキャサリンさんは、自分が代理母になることについて既に調べ始めていたという。

「サムは、サポートはするけれども、身ごもった子をいざ手放すとなった時に私がどういう心境になるだろうかと心配していました」とキャサリンさんは明かした。「でもこうするのが正しいという直感がありました。最愛の父の死という不遇に見舞われた私たち家族に、また幸せをもたらしたいという思いもありました」

 キャサリンさんの卵子なら、ジャッキーさん夫妻が切望したDNAの絆は維持することができる。「別の代理母に私の卵子を提供することも考えましたが、そうなると体外受精が必要になります。体外受精は高額ですし、ポールの精子を使って私の体内で人工授精するよりも、成功率が低くなります」とキャサリンさんは説明した。「それに代理母になれたら、誇りに思える気もしたんです」

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最終更新:6/11(日) 10:00
The Telegraph

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