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中国「一帯一路」の対抗軸となるか、日本とインドの“アジア・アフリカ大動脈構想”

6/11(日) 8:00配信

日刊工業新聞電子版

■「負の遺産」脱却へ推進役

 アフリカ開発銀行(AfDB)の第52回年次総会が先月下旬(5月22-26日)、初めてアフリカの地を離れ、インドのグジャラート州の州都・ガンディーナガルで開かれた。そのサブイベントとして、各種の会合・セミナーなども行われ、日本はAfDBアジア代表事務所と「アフリカの発展に向けた日印協力」に関するセミナーを開催した。

 この中で、日印両国政府が進めようとしている「アジア・アフリカ成長と繁栄の大動脈構想(Asia-Africa Growth Corridor =AAGC)」に関し、インドのナレンドラ・モディ首相によって、そのビジョン骨子が表明された。

 インド紙などの報道によると、モディ首相はその直前に北京で開かれた中国の「一帯一路」構想に関する国際会議への招待を断っていただけに、その発言は注目されたようだ。AfDBの総会総括についての新聞発表でも、AAGCに言及された。

 アフリカは第二次世界大戦後も長らく、欧州の植民地時代からの「負の遺産」を抱え、貧しさの象徴的な存在であった。その脱却からの推進役の一つがAfDBだ。

■最優先は医薬・農業・災害・技能

 アフリカ大陸の人口は推定10億人。うち8.5億人がサハラ砂漠以南のサブサハラ(49カ国)に住む。いまだに内戦状態にある国があり、1日2ドル以下で暮らす人々は5億人とされる一方、10億人のうち5000万人は先進国並みの生活水準にあり、中間層は4.5億人とされている。

 2000年代の平均実質GDP(国内総生産)の伸びは5.8%と高成長を遂げた。AfDBによると、資源価格の軟化などで、16年のアフリカの経済成長率は前年の3.4%より低下して2.2%に落ち込んだものの、17年は3.4%、18年は4.3%の成長が見込まれるという。

 AAGCは、昨年11月のモディ首相の訪日時に、安倍晋三首相との首脳会談で合意されたもの。古代から文化、ヒト、モノなどの交流に貢献した海路の役割を再度見つめ直し、「アフリカ大陸、インド、南アジア、東南アジアそれに太平洋の国・地域を自由にかつ開放的に結び付ける」ことを目的に掲げている。

 発表された骨子は4本の柱からなる。中でも最優先課題は健康・医薬品、農業、農産品加工、災害管理、技能開発の開発プロジェクト。以下、質の高いインフラと各機関間の連携構築、能力・技術の向上、人と人とのパートナーシップ構築―の4点だ。

 骨子は、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)、ジェトロ・アジア経済研究所、ジャカルタにある東アジア・ASEANセンター(ERIA)、インドの政府系機関であるRIS(Research and Information System for Developing Study)が共同でまとめた。

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