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【いま大人がこどもにできること(46)】防災や防犯の本で、アイデアを話し合う

6/11(日) 11:00配信

ニュースソクラ

子どもにとって、世界はわからないことだらけ

今日の本
「子どもの防犯マニュアル」
LLブック「地震がきたらどうすればいいの」埼玉福祉会

 火事や災害、誘拐やクマンバチに襲われた……というような危機的な状況では、マニュアル通りにはいきません。
 必要なのは基礎的な知識と、とっさの判断……と、考える力です。
で、これは大人でも難しい……。

 そうして、小さい子になればなるほど難しいのです。
 子どもにとっては世界はわからないことだらけです。
 そのなかで、これはわかった!
 ということを頼りに彼らは考え、判断します(考えなかったり判断しないわけではありません。でも臨機応変、ができるだけ情報を持っていないのです)。

 ネットのなかで、ある幼稚園が子どもに声かけして失敗した事例……というのを載せていたのですが、避難訓練のときに、上履きのままでいいから逃げましょう、といったところ、庭にいたのにわざわざ上履きに履き替えにいった……というのがあり、ちょっと青ざめました。

 ありえる……、ありえるよ、これ……。

 その子には、逃げるときには上履きをはかねばならない……とインプットされたんでしょう。

 というように、うっかり指示語を間違えたりいいたりなかったりすると、子どもたちはこちらの意図とは思わぬ方向に受け取ってしまう可能性があるのです。

 川に落ちたときに、ランドセルを無くしたら怒られる!
と思ってランドセルを背負ったままでいて溺れかけた……とか……。

 大人はランドセルと自分の命とどちらが大事か、迷うことなく判断できますから、子どもがそういう風に思ってしまう、とはなかなか思いつかない……。

 ランドセルなんかよりお前の命のほうがずっと大事なんだよ!
 ランドセル、捨てていいから!

といってもらえれば、子どもはそうなんだ~!
とすぐ理解しますが、いわれなければ気がつかないかもしれないのです。

 そういう齟齬、をなくすのにはひたすら話す、たくさん話す、しかありませんが、なにもなしに話をするのは難しい……。

 「地震がきたら……」
は子どもと一緒に読める、子どもが一人でいるときに地震がきたらどうすればいいか、を説明した絵本ですが、一ページずつ読んでやりながら、たとえば、この絵の部屋のなかで、落ちてきたり壊れたりして危ないものはどれだと思う?
 どこだと思う?
というように話し合ったり、じゃあ、いまいるこの部屋では?
 台所では?
というように、みんなで考えたり話したりして欲しいのです。
 最後のページには避難所が出てきますが、ここでも、うちだったらあそこだよね、そこにいくには……というような話をして欲しい……。

 だって、いつもいつも大人と一緒だとは限らないんです。
 下校途中のときだってありえます。
 そういうときにはどうするのか、どこにどう連絡すればいいのか、も確認してください。
 ラインやsnsも、もしかして使えないかもしれません。

 人間の脳は、そうやって、一度意識したものにはアンテナを張ります。
 そのアンテナを子どもたちの頭に立ち上げて欲しいのです……。
 アンテナが立つと、あたりの状況にも気がつくようになるし(“お父さん、あそこも危ないよねぇ”と気がついていったりするように)そのジャンルの言葉に敏感になり、情報をスルーしないで受け止めることができるようになります。

 「子どもの防犯マニュアル」は大人用の本ですが、いままで読んだなかでは一番文字が大きく(これ、大事です。読みにくいと頭に入らない)具体的でした。

 これも、一ページ一ページ確認しながらそのページでいっていることを、お子さんに説明してやって、話し合いの叩き台に使ってください。

 きょうだい全員で話し合えば、全員が同じ知識をもち、案外子どもの方がいいアイデアを考えついたりするものです。
 そうしてそのとき、考え違いをしていたら気がついて是正できるでしょう。
 そうしてこれはなによりも、考える訓練になります。
 もちろん、運、不運はあります。
 考えたからといって100パーセント助かる、とは言い切れません。
 でも子どもが考えられないよりは、自分で考えられるほうが助かる可能性は高くなるでしょう。
 地震のあと、海の水が引いて底が見えたら……津波がくる印……というのは知識です。
 火事のときにはどうすればいいか……も知識です。
 ハチに襲われたら手を振り回してパニックになって走らない、も知識です。

 知識は力、です。
 そうしてそういうことは、バラバラにいろいろな本に書いてあるので、そういうことも話してやってください。
 子どもたちは案外言われたことは覚えているもので、とっさのときには忠実にやろうとするものです。

 そうして、助からなきゃ!
という気力も必要です。
 お父さんとお母さんが待ってるから、絶対生きて帰らなきゃ!
って、大事です。

 生き延びて!
 ランドセルなんか、捨てていいから!
 そんなのはまた買えばいいんだから!
 お前が生きて、帰ってくることが一番大事!
といって、お子さんを抱きしめてやってください。

 そうして、お子さんのために、あなたも生き延びてね。
 知識と思考力と気力、を子どもたちにつけてやってください。

■赤木 かん子:いま大人がこどもにできること(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。
著書多数。

最終更新:6/11(日) 11:00
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