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全ての障害対象に学生支援 “富山大方式”に脚光 専門部署が就職後もサポート

6/11(日) 0:56配信

北日本新聞

 昨年4月施行の障害者差別解消法をきっかけに、障害のある学生を支援する大学が増えている。全国に先駆けて発達障害の学生をサポートする専門部署を設けた富山大は、学内外の関係機関と連携しながら、学生生活から就職後までの長期にわたる支援に力を入れている。先進的な取り組みに視察が相次ぐ中、担当者は「楽しく大学生活を送ってもらい、卒業後は社会で能力を発揮できるようにしたい」と話している。(社会部・柳田伍絵)

 国内全ての大学と短大、高等専門学校計1171校から回答を得た日本学生支援機構の調査では、2016年5月時点で、障害のある学生の支援に関する委員会を設けた学校は1004校で全体の85・7%に上る。15年に比べ69校、6・6ポイント増加した。専門部署を設ける学校も増え、同機構の担当者は「障害者差別解消法で障害のある学生への支援体制づくりが進んでいる」と言う。

 ここ10年で急増しているのが発達障害のある学生だ。同機構によると、発達障害の診断を受けた学生は06年の127人から、16年には4150人へと増えた。診断書のない学生も含め15年比で546人増の6069人が、発達障害の支援を受けている。

 各大学が対応を進める中、富山大は07年に全国に先駆けて発達障害を支援する部署を設け、09年に身体障害など全ての障害を対象にした「アクセシビリティ・コミュニケーション支援室」に拡充。配慮の行き届いた長期間の取り組みが、他大学から注目されている。

 支援室には相談員としてスタッフ5人が配置されている。診断書の有無にかかわらず学生と定期的に面談し、授業や人間関係など学生生活全般をサポート。個別のアドバイスのほかに、実験の手順を事前に説明してもらうなど、学生が求める支援を教員と調整する役割も担う。

 支援室は就労支援も行っているのが特徴だ。ハローワークなどの機関と連携し、学生たちを支えるノウハウを共有する。過去には学生の能力を正しく評価してもらうため、スタッフが企業の面接に同席したこともあるという。スケジュール管理やエントリーシートの作成など就職活動全般のマネジメントを行い、卒業後も職場になじめるかなど長期にわたって目配りしている。

 社会に出てから力を発揮するには周囲の理解も欠かせず、支援室の日下部貴史コーディネーターと桶谷文哲特命講師は「学生を支えるだけでなく、発達障害に対する理解も広げたい」と話す。

 富山大は、同機構の障害学生修学支援ネットワークの拠点校に選ばれており、視察に訪れる大学関係者も多い。梅永雄二早稲田大教授(発達障害臨床心理学)は「“富山大方式”と関係者が呼ぶほど、きめ細かな支援を先駆けて行い、その取り組みを各大学が参考にしている」と評価している。

◆発達障害 自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症、限局性学習症などの総称。大学生に最も多いのがASDで、特定の物事へのこだわりが強かったり、他人の気持ちを読み取れなかったりすることがある。さらに音や光に強い反応を示す感覚過敏を伴うことも多い。

北日本新聞社

最終更新:6/11(日) 0:56
北日本新聞