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多忙な職員、遠慮する利用者 介護への不満や要望増加に「切ない心情」

6/11(日) 7:40配信

沖縄タイムス

 介護保険施設や事業所を訪れて利用者の声を聞き、サービスや職員の対応に生かす一般社団法人「市民介護相談員なは」(仲本しのぶ代表理事)は、2016年度の活動報告書をまとめた。「声」は前年度より52件多い2789件で、不満や要望を伝える利用者が増えた一方、目立つのは「ちょっとでいいから外の空気を吸いたい」「トイレを我慢できないから、呼んだ時には来てほしい」などささやかな内容。同法人は介護現場の人手不足を背景に「多忙な職員に遠慮し、多くを望まない利用者の切ない心情がうかがえる」と問題提起している。

 16年度は那覇市内の24施設・事業所から依頼を受け14人の相談員が原則月1回、2人1組で訪問した。相談内容で最も多かったのは「レク・余暇活動」(435件)で全体の15・6%を占め、「職員の対応」(374件)、「施設環境」(349件)と続いた。

 職員の対応では「満足」との声が前年度より29件増えたが、「用を頼みたくても職員が気づいてくれない」という「不満」や、職員が他の作業に気をとられ、利用者に声もかけずにエプロンをかけたり車椅子を動かしたりするなど配慮を欠いたケースも。

 「身体拘束に関すること」の増加も懸念事項とされた。利用者が抜け出す「エスケープ」の防止を理由に、玄関を施錠している通所事業所をはじめ、「やめて」「早く」といった言葉による拘束などがみられ、ハード面に加え職員教育の充実は課題。IT機器の導入で職員の負担軽減をはかる施設がある一方、使い勝手の悪いトイレや浴室、出入り口の問題で余計な人手や時間を要しやむを得ず拘束するケースもあり施設・事業所間の「格差」が広がっている。

 このほか、入所後3年で急激に症状が進んだ若年性認知症の40代女性の事例があり、大田友子副代表理事は「若年層には高齢者とは違う特別な目配りや、家族との関わりが欠かせない」と改善を求めた。介護施設での虐待報告は全国的に、重度の認知症者を受け入れる特別養護老人ホームやグループホームで多い傾向にある。

 仲本代表理事は「特養ホームなどに強制的に第三者評価などの外部チェックを入れる仕組みや、優良施設・事業所を差別化する何らかの報奨制度が必要。今後も那覇市に粘り強く働きかけていきたい」と語った。

最終更新:6/11(日) 7:40
沖縄タイムス