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Hilcrhyme、10周年を締め括るツアーに追加公演

6/12(月) 11:30配信

エキサイトミュージック

6月10日(土)、『Hilcrhyme TOUR 2017 “SIDE BY SIDE”』最終公演。16時ごろ会場の東京・豊洲PITに着くと、ツアーTシャツに着替えた多くの観客が上気した表情で入場の列に並んでいた。昨年12月にリリースしたアルバム『SIDE BY SIDE』の収録曲をすべて披露し、定番曲を最少限に抑えた特殊な構成だったが、どこを切ってもHilcrhymeならではの温かみ、ユーモア、そして何よりアツい感情が渦巻く、最高にエネルギッシュなライヴエンタテインメントだった。

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イントロダクションのSEに導かれてまずDJ KATSU、続いてTOCがステージに上がり、フロアから歓声が上がる。開幕はアルバムと同じ「VESPER」だ。熱い恋情とセルフボーストが相俟ったこの曲で彼らのプライドとファンへの思いを訴え、極上の応援ソング「パラレル・ワールド」へ。「自分に誇り持ってるってやつは手え挙げな!」とのっけからテンションが高い。

「Hilcrhymeは昨日、結成11年目を迎えました。新潟に生まれ、今も新潟に住みながら全国津々浦々でライヴをしています。このスタイルはしばらくは変わらないでしょう。というか、できれば死ぬまで変えたくない。ついてきてもらえるでしょうか(拍手、歓声)。ごめんね、序盤にこんなアツい話して申し訳ないんだけども、それくらい今日は俺もKATSUも高まっています。東京、ついて来てくれんのかな?」

大歓声で応える観客に「HINOTORI」でヒップホップの魂をアツくマニフェストし、「言えない 言えない」「クサイセリフ」では大切な人との絆を作るために大事な言葉ほど口に出しにくいこと、しかしだからこそ口に出さなきゃいけないことを訴える。会場の空気は完全に『SIDE BY SIDE』の色彩に塗り替えられた。

3月に行った新潟・朱鷺メッセでの10周年記念公演について語った後、TOCは「今MCのエンジン温めてるとこです」と苦笑い。終演後に話したとき反省の弁を述べていたが、MCの調子が上がらない(と本人は感じていた)ようだ。これはこれで、彼が言うところの「すごくすごく人間臭いアルバム」のツアーにふさわしいと思ったが、トップクラスのエンタテイナーともなると意識が高いというか欲が深い。だからこそトップになれるのだ。

「喜怒哀楽を4つの曲で表現してみたいと思います」と、まずはグレン・ミラー楽団の名曲ラップカヴァー「WARAE~In The Mood~」で「喜」、この夜初めての過去曲「NOISE」で「怒」、もう一発過去曲「LAMP LIGHT」で「哀」を歌い、「Hilcrhymeの楽しいってのは踊るってこと」と一度ステージから去って、KATSUひとりで「DENDROBIUM Live Mix」でPITを揺らす。

着替えたTOCが再登場して「ドレス」。喜怒哀楽を表現した4曲にこのウェディングソングを続けることで、意図していたかどうかはともかく、感情は二人のほうが味わえるよね、と言われているようで、個人的にはうまいなと思った。そして小さな命を言祝ぐ「鼓動 -Magnificent Remix-」、「ちょっと早いけど歌い上げます」と言って「大丈夫」。<もし世界中が君の否定をしても(中略)俺だけが世界中の否定をしよう>。家族、仲間といった親密な人間関係の大切さを訴えたこのパートは前半の白眉だった。

ライヴは折り返し点。「10代の方、手を挙げて」に始まり、20代、30代……と年代アンケートをとる。20代が一番多いのはわかるが50代以上もけっこういて、聴き手の世代に依存しないHilcrhymeの歌のメッセージとメロディの魅力を再認識させてくれた。「どちらからいらしたんですか?」と持ち前の高いコミュ力で巧みな客いじりを見せ、観客が多くてもしっかりやりとりできるのはさすがだ。

「ソノママ」「光」を続け、「4つ打ちでいきますか!」と「Little Samba~情熱のRemix~」から「トラヴェルマシン」(グラサンを外す→ジャンプ→DJ卓の上に立つ)「Summer Up」「TOKYO CITY」「ルーズリーフ」をメドレーで披露し、興奮は頂点へ。

「あなたたちの人生の隣にいつでもHilcrhymeが寄り添えますように、と願ってつけたタイトルです。例えば落ち込んだ日があって、生きるのもイヤだって思っても、このアルバムを聴けば、このライヴを見れば、また明日から頑張ろうかなって思える。そういう音楽でありたいです」と切々と語り、「LUCIFER -Interlude-」からの「Side By Side」で本編は幕を下ろした。

アンコールに応えて再登場し、まずは、『Hilcrhyme LIVE 2017“SIDE BY SIDE”in SAPPORO』と題した追加公演の発表をし、NEWSへの提供曲「内容の無い手紙」をセルフカヴァー。東京から新潟へ帰る車中で4時間で書き上げた曲だったことは初めて知った。TOCがKATSUに水を向け、おもしろ回答をTOCがマイクでみんなに伝えるのはいつものお楽しみだ。「11年目の抱負は?」というTOCの問いに「アラフォーなので筋トレで若さを保ちたい」「こめかみを剃って若くなったでしょ」「(こめかみで)大根おろせるよ」とKATSU。最後のはどうなんだ(笑)。

さらに「ジグソーパズル」「エール」を歌って、いよいよライヴも最終盤。TOCは映画『春夏秋冬物語』の話を始めた。

「8年経って映画が作られるのは、この曲が根づいてるってことだと思うし、それだけ根づいた曲を作れてうれしいです。これからももっといい曲を書いて残していきたい」と、Hilcrhymeの代名詞的な名曲「春夏秋冬」(観客の大合唱は圧巻!)、そして曲間なしでこの日配信された主題歌「アフターストーリー」。

「俺が書きたかったのは、二人は8年間ずっと続いているってこと。そしてこれからもずっと続いていくってこと。俺たちとみなさんの関係もそうありたいと思っています。春夏秋冬、これからも一緒にいましょう」と歌い出した物語は、二人に紆余曲折があったこと、それを乗り越えて今も一緒にいることを伝える。<あの子達を連れて行こう また夏の終わりに愛を祝った場所>の締めは感動的だった。

みんなの隣にいたい、とTOCは話していたが、僕がHilcrhymeが好きなのは、例えば<鏡の中の自分に言ってやればいい 「私なんか」じゃなく「私だって」>(「パラレル・ワールド」)、<自由に書いていいぜ 自由に破いていいぜ>(「ルーズリーフ」)といったように、迷っている人、自信のない人に自由と解放をメッセージし続けているからだ。<俺が「大丈夫」って言えば君はきっと大丈夫で>(「大丈夫」)と、みんなの後ろ盾になることに彼らは躊躇していない。君の人生の主人公は君だ、好きなことをやりなさい、と言う人は多いが、俺を心の支えにしなよ、とまで言う人はそういない。「Side By Side」の<どんな孤独に襲われても構わない 糧となり術となる そんな歌 歌いたい>の覚悟と祈りに、この夜集まったファンは頼もしいものを感じていたはずだ。