ここから本文です

G7環境相会合閉幕 パリ協定復帰への米説得不調、強まる中印の発言力

6/13(火) 8:15配信

SankeiBiz

 イタリアで開かれている先進7カ国(G7)環境相会合では、プルイット米環境保護局(EPA)長官が初日に早々と帰国し、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」に復帰を促す説得工作は不調に終わった。米国は会合で気候変動枠組み条約の下で温暖化対策を進めることを表明したが、具体策はなく、むしろ先進国の分裂が浮き彫りになった。今後の交渉では中国やインドなど発展途上国側の発言力が強まるのは確実だ。

 「残っていても、それ以上は発言できなかったのだろう。米国の孤立主義が際だってきた」

 環境問題に詳しい名古屋大大学院の高村ゆかり教授は、プルイット氏の対応に困惑する。トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明した直後とあって、プルイット氏には各国の懸念を和らげる材料もなく、11日には会場を後にした。

 そんな中、米国が切った数少ないカードが枠組み条約への残留と、温暖化対策の継続だ。パリ協定からの離脱は「温暖化対策からの撤退ではない」と位置づけて対話の窓口は確保し、今後の交渉で米国に有利な仕組みを模索するとみられる。

 トランプ氏が温暖化自体を「中国のでっちあげ」と非難した当時から一歩前進といえなくもないが、1日に表明した再交渉を含め具体的な政策や手段は示さなかった。離脱を表明したものの、「今後の展望や落としどころは米政権内でも固まっていないのではないか」(専門家)とみられる。

 米国と他の先進国との溝は深く、協定の枠組みを維持するため、当面は主要排出国の中国やインドの協力を仰ぎ、結束を維持する必要がある。いきおい途上国側の発言力が強まりそうだ。

 2018年には協定の具体的な実施ルールの決定を控える。途上国側の主張が通れば、例えば温室効果ガス削減目標の達成レベルを審査する際、先進国は厳しく、途上国は緩く扱う仕組みになりかねない。

 先進国の企業活動にも悪影響が出る。環境省幹部は「将来の復帰を念頭に置き、先進国で協力して米国が戻ってきやすいルールを作らなければならない」と指摘する。(田辺裕晶)

最終更新:6/13(火) 8:15
SankeiBiz