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久保のシュートの秘密…臨機応変0・05秒の使い分け

6/12(月) 6:05配信

スポーツ報知

◆2018年ロシアW杯アジア最終予選B組 イラク―日本(13日、イラン・テヘラン・パススタジアム)

 日本代表は13日、ロシアW杯最終予選イラク戦をイラン・テヘランで行う。勝てばW杯出場に王手の可能性のある大一番で期待されるのがFW久保裕也(23)=ゲント=だ。1シーズンの欧州日本人最多得点記録(公式戦23得点)を更新し、代表でも最終予選2戦連発中とゴールを量産。スポーツ報知では、サッカー科学を研究する筑波大・浅井武教授(60)の協力の下、代表新エースのシュートの秘密に迫った。(取材・構成=田中 雄己)

 昨夏のリオ五輪アジア予選を取材している時のこと。本紙カメラマンが「久保選手だけ、うまく撮れないことが多い」とこぼした。スイングスピード(軸足のかかとが接地してからボールをミートするまでの時間)が速く、タイミングが合わせづらいことが原因かもしれないとのことだった。

 久保は今季スイス1部ヤングボーイズから、1月にベルギー1部ゲントに移籍。加入後17試合11得点と爆発して、代表でも右FWの定位置を本田圭佑(ACミラン)から奪った。大ブレイクの秘密は、カメラマンの言葉にあるかもしれない。筑波大・浅井教授の分析から、シュート技術の高さが明らかになった。

 研究対象は2011年の京都時代から6年間で、クラブ、代表で挙げた10得点。「特別スイングが速いわけではないが、状況に応じたシュートが特長。フリーでは大きく、密集地帯ではコンパクトな振りを使い分けている」。フリーでは0・1秒のスイング時間がゴール前など密集地帯になると、0・05秒に短縮。瞬時の判断で最適のシュートを選択し、その微調整がカメラマンのタイミングもずらしていることが判明した。

 さらに、インパクトのうまさも得点量産の秘訣(ひけつ)だという。「どんな状況でもボールをほぼミートしている。小さな振りでも芯を捉え、鋭くゴール隅に飛ばしている」

 同じタイプとして挙がったのが、アルゼンチン代表FWメッシ(29)=バルセロナ=だ。「スピードが乗ったまま、小さな振りで強いボールを蹴る。あれはミートがうまいから成せる技。練習よりも試合でうまさが際立つタイプ」。数字も酷似し、フリーでは0・13秒と豪快なスイングを放つメッシも、密集地帯では久保と同じ0・05秒に短縮。本田の密集時のスイングは0・06秒で、差はわずか0・01秒だが「ディフェンダーが寄せてきたときなど、そのわずかな差が大きな違いを生む。正確なシュートは練習で身につけたと思うが、一瞬の判断でシュートを選択するのは天性のものもある。体格では勝てない日本人としては、こういった賢いストライカーの出現は貴重だし、経験を積めばもっと伸びると思う」と浅井教授は語る。

 ハリルホジッチ監督がW杯出場に向け「決定的な試合」と語るイラク戦。正確無比な“スナイパー”が、ゴールを狙い打つ。

最終更新:6/12(月) 6:05
スポーツ報知