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焦点:人民元支援に躍起の当局、指導部交代前に市場安定狙う

6/12(月) 16:55配信

ロイター

[北京 9日 ロイター] - 中国当局が、さまざまな手段で人民元の値動きのコントロールを強化し始めた。相場を押し上げ、市場の信頼を取り戻して資金流出などのリスクを予防する狙いだ。複数の政策関係者が明らかにした。

ムーディーズが先月に中国の格付けを予想外に引き下げ、人民元先安観が高まると、中国当局は以前のような為替市場への積極介入姿勢を復活させた、と市場参加者は話す。

さらに政策関係者によると、人民銀行(中央銀行)が先月実施した謎だらけの「カウンターシクリカル(反景気循環)な調整要素」導入という人民元基準値(中間値)の見直しは、いかに当局が市場の元安予想を一掃し、1ドル=7元に向けた値下がりを阻止することに真剣になっているかを浮き彫りにしている。

中国は債務問題を巡るリスクのほか、米国の金利上昇に伴う資金流出、対米通商関係悪化の可能性などで経済が打撃を受けるのではないかと懸念されている。こうした中で、秋に予定している指導部交代を前に市場の人民元に対する信頼を確保することこそが、当局の重要課題になっている、と政策関係者は指摘する。

政策関係者の1人は「(当局は)明らかに(人民元への)締め付けを強めており、それは政治や外交と関連したものだ。通貨当局の立場としては、市場の期待形成に影響しかねない1ドル=7元という節目まで元安が進むのを断固阻止したい」と述べた。

人民銀行は、ロイターの問い合わせに電子メールで回答し、カウンターシクリカルな調整要素導入が人民元のコントロール強化だとの見方を否定。「そうした言説は真実ではない」と主張するとともに、基準値見直しはマクロ経済の基礎的条件をより良く反映し、「根拠のない」市場の予想を抑えるためだという公式見解を繰り返した。

一方、2人目の政策関係者は、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げに動こうとしている中で、資金流出によって元安が止まらなくなる事態を中国当局が恐れた面があるとの見方を示した。

これらの政策関係者の見立てでは、当局は人民元基準値の新たな枠組みを研究していたところ、ムーディーズの格下げを受けて前倒しで導入せざるを得なくなったのではないかという。

当局にとっては人民元が急落すれば、元の国際的地位を高めようとしている政府の取り組みに水を差しかねないとの心配もある。

そのため別の政策関係者は「人民銀行は、1ドル=7元を付ければ多様な手段を駆使して介入する。この水準はいわゆるレッドライン(超えてはいけない一線)だ」と語り、無秩序な元安は中国経済にも痛手になると付け加えた。

人民銀行は今後も、カウンターシクリカルな調整要素と定期的な為替介入、既存の資金流出防止策を組み合わせて人民元を支えるとみられている。

これで人民元の投機取引は難しくなるだろう。ただし、中国が最近進めてきた市場ベースの改革が目指す通貨制度の透明化は損なわれてしまうとの批判が出ている。

政策関係者の1人は「基準値見直しは以前の固定相場に一歩近づく。改革の後退という面で論争の的になっている」と認めた。

(Kevin Yao記者)

最終更新:6/13(火) 8:42
ロイター