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負傷し帰国する小川航基を全員で見送ったU20日本代表、結束力が魅力に見えた!

6/13(火) 16:03配信

スポーツ報知

 怪我でスタンド観戦を余儀なくされていた背番号9にチームの歓喜の視線が向けられた。

 5月27日サッカーU―20W杯1次リーグ最終戦となるイタリア戦、ビハインドを負った後半。堂安律(18)=G大阪=がドリブルから押し込んだ同点ゴール直後、前のウルグアイ戦で負傷し戦線を離脱したエース・小川航基(19)=磐田=のユニホームを高々と掲げた瞬間だ。

 決勝トーナメント進出を大きく手繰り寄せた興奮の最中、立役者が見せた仲間への気遣い。その日まで現地でチームに帯同していた小川もスタンドから大きくガッツポーズで応える。その光景は必死にボールを追ってカメラを構えていた私から見ても感動的な一瞬だった。「ハーフタイムに(前半を見て)気づいたことを伝えた。チームのみんなが気にしてくれていたことも嬉しい」。左ひざの前十字じん帯断裂および半月板損傷。選手生命を脅かされかねない怪我の直後だったが小川の目は輝きを失っていなかった。それがチームに力を与えたのも事実だろう。

 思えば2世代飛ばして代表入りした久保建英(15)=F東京U―18=が注目されていたU-20日本代表だったが、帯同した我々カメラマンも日を追うごとに練習取材で久保に集中していたコマ数が小川や堂安などほかの選手に分散していくのが分かった。

 それは代表チーム自体の魅力が報道陣側にも自然と伝わってきたからだろう。中心選手の堂安、小川以外にも中盤から絶妙なパスを出す市丸、ベネズエラ戦で強烈なシュートを放った高木、三好、遠藤など将来が楽しみな選手ばかりが揃った良いチームだったと思う。注目されていた久保もまたチーム内で浮くことなく、時に先輩選手をいじるなど自然な表情を見せていった。アスリートにとって仲の良さはしばし馴れ合いと捉えられることもあるが、チームを結束させるチームワークのように映った。

 それを顕著に示したのが激闘の末に引き分けたイタリア戦の翌日の早朝7時30分、チームを離れ帰国する小川をホテルの玄関で前日の試合に出場した選手も含めて見送ったことだ。報道陣もまばらな中、揃って負傷したエースを送り出すチームの姿に前日の試合と同様の感慨を覚えた。小川も自身のSNSで「自分のために朝早く起きてお見送りしてくれてありがとうございます。一人一人握手したとき、本当は泣きそうでした。」とチームメイトへ感謝の気持ちをつづっている。

 負傷のエースの気持ちを背負い、勝ち進んでほしいところだったが日本代表は惜しくも決勝トーナメント初戦に延長の末に惜敗した。ベネズエラ代表はそのまま決勝まで勝ち進み2位、ベスト4の顔ぶれのうち3チームが今大会で日本代表と対戦したチームだった。 東京五輪世代となるこの世代で日本は決して世界にひけをとっていない。最も悔しさを味わったであろう小川は「ここを乗り越えてレベルアップして必ずまた代表という舞台に帰ってきたいと思います!そして東京オリンピックで絶対活躍します!!!」と語る。U20世代は決して久保だけではない。そして個人だけでなく結束力も魅力的な世代だ。これからもリハビリを経て更なる進化を遂げるであろう小川ら各選手を東京五輪までレンズで追いかけていきたい。 (記者コラム、写真部・酒井 悠一)

最終更新:6/13(火) 17:46
スポーツ報知