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カギ握る「エース以外」の成長 ~車椅子バスケ男子U23世界選手権観戦記1~

6/12(月) 22:10配信

カンパラプレス

 8日(現地時間)に、カナダ・トロントで開幕した「IWBF男子U23車椅子バスケットボール世界選手権」。日本が初めて出場したのは、2005年。当時のチームには現在、「ダブルエース」と称される藤本怜央、香西宏昭らがおり、準優勝に輝いている。各国の将来を担うジュニア世代にとって、重要な「4年に一度の大会」だ。
 11日、日本は予選プール第4戦でアメリカと対戦し、64-57で勝利。これで、無傷の4連勝となった。

HCのひと言で「らしさ」を取り戻した熊谷

「よし!ついにきた!」と、今日の試合で思わずガッツポーズをしてしまったのは、第3Qの最後、アメリカの追い上げムードを払しょくするかのように、鮮やかに決まった熊谷悟のミドルシュートが立て続けに決まった瞬間だった。

 前日まで、「彼はこんなものではないのに……」という歯痒い思いで見ていただけに、心の中で「そうそう、これこそが彼本来のプレーなんですよ!」とつぶやかずにはいられなかった。

 実は、熊谷が「いつも通り」ではないように感じたのは、8日の初戦前のこと。ふだんなら、こちらが挨拶をすると、「どうも」というようにしてぺこりと頭を下げてくれるのだが、この日は2度にわたって反応がなかった。

 それでも「試合に集中しているんだろうなぁ」と思い、それほど気にはしていなかった。だが、コート上での彼のプレーには「らしさ」が感じられず、昨日まで試合を重ねるたびに歯がゆさが増していってた。

 そんな熊谷を復活へと導きだしたのは、京谷和幸HCのこんな言葉だった。
「おまえにはチームのみんながいるんだぞ。自分と戦うのではなく、みんなと一緒に戦おう」

 昨日そう言われて、熊谷は初めて自分が気負っていることに気付いたのだという。
「ずっと一人で戦っているような感じでした。コートに出ても、周りが全く見えていなくて『自分対相手5人』だったんです。でも、自分がそういうふうになっていることに気付いていませんでした。京谷さんに言われて、ようやく『自分がやらなくちゃ』と一人で気負っていることに気付いて……」

 もちろん、熊谷の「いつも通り」を待ち望んでいたのは、チームこそだ。京谷HCは、試合後にこう語ってくれた。
「自分のやるべきことを見失っていたところをようやく取り戻してくれた。これから決勝トーナメントに向けて、古澤(拓也)、鳥海(連志)の2人が厳しくマークされるはずなので、熊谷のアウトサイドシュートはチームにとって大きい」

 ようやく「気負い」から解けた熊谷。きっと明日以降も力を発揮してくれるはずだ。

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最終更新:6/12(月) 22:22
カンパラプレス

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