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学校給食でおなじみの“魔法の粉”「ミルメーク」 誕生秘話を聞いてみた 牛乳消費の切実な事情も

6/12(月) 11:26配信

qBiz 西日本新聞経済電子版

 小学生だった1970年代、たまに学校給食で配られると、跳び上がって歓喜した献立がある。粉末状のコーヒー牛乳の素「ミルメーク」。牛乳に混ぜると甘くておいしい飲み物に変わり、少し苦手だった牛乳が大好物になった“魔法の粉”だ。

 五十路(いそじ)を過ぎて、思いがけず当時の興奮がよみがえった。最近、福岡市・天神の街角で牛乳消費拡大を促すパンフレットを受け取ったら、ミルメークがおまけで付いていたのだ。小躍りしたい気分を抑え、およそ40年ぶりに手にしたミルメーク。小袋をじっと眺め、あれこれ調べると、いろんな発見があった。

栃木県の学校給食会からの相談がきっかけ

 製造・販売元は名古屋市の「大島食品工業」。HPによると、ミルメークは67年発売で今年50周年。同社は54年に医薬品製造「大島製薬所」として設立したが、65年から学校給食用食材を生産、77年に社名変更。製薬所時代のミルメークが業態変更のきっかけになったようだ。

 その誕生秘話を同社から直に聞いた。

 「学校給食に関わり始めた頃、栃木県の学校給食会からこんな相談を受けました。『子どもたちが残さないように給食の牛乳をおいしくしてほしい』。対応したのは当時営業担当だった大島和男(のちに3代目社長就任、故人)。薬剤師の知識と経験を生かして試行錯誤し、ミルメークを開発。牛乳が苦手でもミルメークを混ぜたら飲める子どもが増え、全国の学校給食で採用されることになったのです」

牛乳消費の切実な事情も

 ラインアップも実は多彩だった。コーヒーのほかココア、いちご、バナナ、メロン、抹茶きなこ、キャラメル、紅茶があり、粉末とは別に液体タイプもある。93年から「家庭用」市販もスタート。スーパーやドラッグストア、ネット通販などで入手できるのだ。

 「早いもので半世紀。栄養価の高い牛乳を子どもたちにおいしく、楽しく飲んでもらいたい。その一心で今もほそぼそと続けています」と謙遜する関係者。HPには今も「子供たちの人気者、ミルメーク」とある。

 しかし、その背景には牛乳消費の切実な事情も透けて見える。天神で街頭キャンペーンを行っていたのは九州各県の生乳生産者団体でつくる「九州生乳販売農業協同組合連合会」(福岡市)。6月1日の「牛乳の日」にちなんだものだ。関係者は「学校給食は順調だが、家庭での牛乳消費の伸び悩みは長年の課題。スーパーやコンビニの牛乳コーナーがもう少し広がれば」と訴える。

大人向けのリキュールを加えてみると…

 さて、実食である。手に入れたミルメークは「ココア」と「キャラメル」。冷えた牛乳にココアを混ぜると、初体験ながら懐かしいおいしさが口いっぱいに広がった。半分ほど残し、次に加えたのはリキュール「電気ブラン」。これもいい。子ども向けのミルメークと大人向けのリキュールが力を合わせ、牛乳のおいしさを引き立てるカクテルになった。

 大島食品工業の関係者にこの体験談を恐る恐る伝えると、こんな声が返った。「そのチャレンジはありがたい話。牛乳の消費拡大を大人に呼び掛けるアイデアとして参考にしたい」

西日本新聞社