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「大事なのは細かいフィードバック」成毛眞が語る“料理”と“仕事”の本質

6/12(月) 18:30配信

ホウドウキョク

“料理”と聞くと、身構えてしまうビジネスマンは多いかもしれない。しかし、手際の良さや段取りが求められる料理には、ビジネスにも通じる要素があるはずだ。さらにいえば、トップリーダーにとっての料理には、深い意味が隠されているかもしれない。そこで話を伺ったのが、日本マイクロソフトの元代表取締役社長であり、4月に『コスパ飯』(新潮新書)を上梓した成毛 眞さん。

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料理で“リア充”ぶりを表現するのはおやめなさい

おしゃれなディナーや、手の込んだ自作料理などの画像がSNSに次々とアップされている昨今。しかし、『コスパ飯』で家庭料理として紹介されているのは、卵かけご飯や湯豆腐など、凝った食材や複雑な調理過程が全くいらない、料理が苦手でも真似できる簡単なものばかり。

料理も仕事も、“大衆”になったらおしまいだ

万人が夢中の料理を好むと、万人になってしまうから。すなわち人材として優位性や特異性を失ってしまうからだという。あまのじゃくなのには理由があるのだ。

「料理も仕事もその他大勢、つまり“大衆”になったらおしまいですからね。すこし変わった人でいないとチャンスに気付かないし、新たな製品もサービスも作り出せない。大衆から抜け出られない限りは、経済的にも立場的にも大衆のまま。だとしたら、ある意味で変人になればいい。服や髪型を奇抜なものに変えるとか、なんでもいいんです。すると、周りに感覚の鋭い人たちが集まってきて、チャンスやアイデアが飛び込んでくる。

僕は20年ぐらい、ずっと霜降りより赤身のエイジングビーフがうまいって言ってたんです。マイクロソフト時代、アメリカに出張するたびに現地の店で食べていた。日本じゃ誰も知らなかったんだけど、この3年ぐらいで日本でもメジャーになって、食わなくなりました。でもね、アメリカのエイジドビーフは本当に美味しいんだけど、日本で最近出ているもの偽物っぽい。肉の厚みが違うからと気づきました。ステーキの基本はボリュームなんです」

重要なのは「コミュニケーション」ではなく、細かい「フィードバック」

トップリーダーともなれば会食の多いイメージがあるが、成毛さんの場合、基本的には会食は断り、週のほとんどは自宅で奥さんが作った手料理を食べるという。

「うちの奥さんの料理は、下手なそこらのレストランよりもよっぽど美味しい。私も昔から料理は相当やっていて、10年くらい前までは一緒作ったりしていたんだけど、今はあまりに彼女の料理がうますぎて、手の出しようがない。毎日サラダから、1時間くらいで5品くらい出てくる。おそるべき手際のよさです。ただし、手放しに『美味しい』とは褒めません」

サラダひとつでも、「この時期に夏みかんを添えたのはいいアイデアだ」とか「ホワイトビネガーのブランドを変えた?」など、1皿ずつ細かく感想を伝えるそうだ。

「文句ではなく、フィードバック。食べて3秒後には伝えるから、何も言わずに食べるより嬉しいみたいです」

それは、ビジネスでも応用できること。

「上司から部下にであれ、その逆であれ。料理でも仕事でも、いいものを作り出して関係を良くするためには“フィードバック”が必要です。居酒屋で盛り上がるような馴れ合いの『コミュニケーション』はいらない。フィードバックは、相手の人格ではなく、その人が作ったもの、つまり仕事を全力で評価するということ。完全に一方的でも構わない」

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最終更新:6/12(月) 18:30
ホウドウキョク